(10)
「『高濃度マナ
マセキは大概が地中の岩石などと結合しており、サームの各国ではそれを魔法に使えるよう、いろいろと加工しているらしい。地球と同じようにサームでもエネルギーの枯渇を懸念し、解決策を宇宙に見出したわけだ。
「囚人に同じ仕事をさせているのは、単に賃金が安く済むからってだけだ。タダみてえなもんだよな、お前も経験あんだろ?」
「確かに、そうっすけど……」
マジですずめの涙だ。一日働いて198Gのカロリブロック一本も買えない額だからな。
「そうまでして、人が必要なんすか?」
「なんたってこの重力差だからな。大の体力馬鹿が揃っても、たいした量が採れねえ」
「だったら機械を使えばいいじゃないっすか」
それくらいの技術ならあるだろうに。
「機械動かすのだって、かなりマナを使うそうだぜ。それくらいなら俺らに金を払って掘らせてた方が、金はかかってもマナの消費は少なくて済むし、採算が取れるって話らしい」
なるほど。マナを採るために大量のマナを消費するとなれば、ばかげている気もする。
「しんどいうえに、この魔鉱山の中を見んのも嫌になってくるが、嫁と子供を養う身としちゃあ、ありがてえこったな。オレらみたいな馬鹿にはちょうどいい仕事だ」
まあ確かに、俺でもできる仕事だし、これで稼げるのなら文句はないが……。でもこの仕事のどこが危険なんだ? 落盤事故とか、重力による健康被害の危険性とか? どちらにせよ、イメージしていた危険とはやっぱりちょっと違うよな……。
尋ねようとした時、
「親方、これを見てくだせえ。その新入りが掘ったやつでさあ」
先輩の一人が、そのソフトボール大のマセキを手にして言った。
「ん? おお……こりゃすげえマナの濃度だな。ここ最近で一番じゃねえか?」
小さな測定器のようなものでそれを測り、親方がうなった。
「小僧、見かけによらず腕っぷしも良いみてえだし、運にも恵まれてるようだ。……あるぜ、きっと。マセキ堀りの才能がな」
「は、はあ……」
そんな才能、いらん。
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