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「『高濃度マナ含有鉱石マセキ』ってのはな、地中に染み込んだ濃いマナが長ぇ年月かけて固体化したもんだ。ハトラにはサームよりも、うんっと多くのマナがあるから、オレらはこれを採って、サームに送ってんだ」

 マセキは大概が地中の岩石などと結合しており、サームの各国ではそれを魔法に使えるよう、いろいろと加工しているらしい。地球と同じようにサームでもエネルギーの枯渇を懸念し、解決策を宇宙に見出したわけだ。

「囚人に同じ仕事をさせているのは、単に賃金が安く済むからってだけだ。タダみてえなもんだよな、お前も経験あんだろ?」

「確かに、そうっすけど……」

 マジですずめの涙だ。一日働いて198Gのカロリブロック一本も買えない額だからな。

「そうまでして、人が必要なんすか?」

「なんたってこの重力差だからな。大の体力馬鹿が揃っても、たいした量が採れねえ」

「だったら機械を使えばいいじゃないっすか」

 それくらいの技術ならあるだろうに。

「機械動かすのだって、かなりマナを使うそうだぜ。それくらいなら俺らに金を払って掘らせてた方が、金はかかってもマナの消費は少なくて済むし、採算が取れるって話らしい」

 なるほど。マナを採るために大量のマナを消費するとなれば、ばかげている気もする。

「しんどいうえに、この魔鉱山の中を見んのも嫌になってくるが、嫁と子供を養う身としちゃあ、ありがてえこったな。オレらみたいな馬鹿にはちょうどいい仕事だ」

 まあ確かに、俺でもできる仕事だし、これで稼げるのなら文句はないが……。でもこの仕事のどこが危険なんだ? 落盤事故とか、重力による健康被害の危険性とか? どちらにせよ、イメージしていた危険とはやっぱりちょっと違うよな……。

 尋ねようとした時、

「親方、これを見てくだせえ。その新入りが掘ったやつでさあ」

 先輩の一人が、そのソフトボール大のマセキを手にして言った。

「ん? おお……こりゃすげえマナの濃度だな。ここ最近で一番じゃねえか?」

 小さな測定器のようなものでそれを測り、親方がうなった。

「小僧、見かけによらず腕っぷしも良いみてえだし、運にも恵まれてるようだ。……あるぜ、きっと。マセキ堀りの才能がな」

「は、はあ……」

 そんな才能、いらん。

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