(4)
わくわくしながら、鼻息を荒くして走ること十数分。
『ネウトラ中央ギルド』という看板を発見した。
「す、すげえ……!」
思わず感嘆の声を漏らした。
それは大聖堂と呼んだ方がぴんとくるような外観の建物。明らかに年季が入っていて、長い歴史による荘厳な雰囲気がひしひしと伝わってくる。ぶっとい柱の数々と、きらきらした不思議な模様の色鮮やかなステンドグラス。
素晴らしい。だがどうしてギルドだけこんなに〝それっぽい〟のだろう。
まあそんなことはどうでもいい。早く中に入りたい。
不安と期待で胸を高鳴らせつつ、俺は建物正面の重厚な扉──に見せかけたスライドドアの奥へ踏み入る。
ギルドの建物の中。
入るとそこは小さく仕切られた小部屋になっていた。壁全面に、白銀色や黄色を用いた不思議な模様のステンドグラスが埋め込まれている。
どうやらここが受付らしい。マギパッドのメニューパネルの拡大版といった感じの、大きいパネルが一つだけ、どんと宙に浮いていた
どこからか音声案内が流れる。
『ご自身のマギパッドでお仕事をお探しの方は1を、はじめてのご利用でガイダンスをご希望の方は2を、その他、職員の対応をご希望の方は3を……』
パネル上に並んでいるアイコンのどれかに触れるよう促しているらしい。
「えっと……とりあえず2、か」
悩みつつ、ギルド初心者なのでまずはガイダンスを聞くことに。
すると複数のパネルが俺の周囲に出現した。イメージキャラクターだという可愛らしいハーピー娘がそのパネル間を飛び回り、ギルド利用の流れや注意点を教えてくれた。
……わかりやすぅい。
二、三分のそれを視聴し終え、俺は職員の対応を希望するアイコンを選んだ。
『それでは、276番でお呼びします。隣の待合室でお待ちください』
俺のマギパッドの付近に新しいパネルが出現した。今しがた案内があった番号がそこに表示されており、『現在の待ち人数』だとか、『ギルドの新着情報』だとかの記載もあった。
ステンドグラスの壁もスライドドアになっており、俺は待合室に入った。
酒場が併設されている──ということはなかったが、利用者はそれなりにいた。中はとても広く、さながら礼拝堂のよう。ベンチや椅子がたくさん並び、壁際には花なんかも飾られている。様々な種族の男女が、そのベンチに座ったり、高い天井付近の出っ張りに腰かけたりして、それぞれマギパッドを操作している。
なんというか、異空間だ。
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