(11)


 …………もう、駄目かもしれない。

 今、俺は刑務所にいる。

 いわゆる懲罰房と呼ばれる場所に、たった一人、閉じ込められている。

 暗くて狭く、文庫本サイズの頑丈な小窓があるだけの、さびしい部屋。

 海外ドラマで見るような内装で、異世界感はあまりない。強いて言えば、両手足に巻かれたおぼろげに光るリングだけ。この世界における拘束具で、魔法封じの効果があるらしい。

 俺はその暗い空間の中、硬いベッドの上で膝を抱えて座っている。

 相棒はいない。


 住居侵入と銃剣法違反で逮捕されたあの日から、こちらの世界で延べ十日が経過した。

 そのほとんどの時間を俺は刑務所で過ごしている。

 精神的におかしくなってきた自覚がある。急に泣き叫びたくなったり、笑いが込み上げてきたりする。

 絶望していた。

 とりあえず言えることは、すでに俺の異世界生活が〝詰んでいる〟ということだけだ。

 明るい未来なんてまったく見えない。

「クソだ。この異世界はクソだぁ!」

 ふいに衝動に駆られ、俺は頭を掻きむしりながら叫んだ。

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