(11)
…………もう、駄目かもしれない。
今、俺は刑務所にいる。
いわゆる懲罰房と呼ばれる場所に、たった一人、閉じ込められている。
暗くて狭く、文庫本サイズの頑丈な小窓があるだけの、さびしい部屋。
海外ドラマで見るような内装で、異世界感はあまりない。強いて言えば、両手足に巻かれたおぼろげに光るリングだけ。この世界における拘束具で、魔法封じの効果があるらしい。
俺はその暗い空間の中、硬いベッドの上で膝を抱えて座っている。
相棒はいない。
住居侵入と銃剣法違反で逮捕されたあの日から、こちらの世界で延べ十日が経過した。
そのほとんどの時間を俺は刑務所で過ごしている。
精神的におかしくなってきた自覚がある。急に泣き叫びたくなったり、笑いが込み上げてきたりする。
絶望していた。
とりあえず言えることは、すでに俺の異世界生活が〝詰んでいる〟ということだけだ。
明るい未来なんてまったく見えない。
「クソだ。この異世界はクソだぁ!」
ふいに衝動に駆られ、俺は頭を掻きむしりながら叫んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます