(7)
「な、なぁガドッシュ、マギストアって何?」
『マギストア……聞いたことがないです』
「マジか。ストアって言うくらいだから何かの店なのかな? でも、だとしたら何で俺がそんなところから……」
てっきり冒険者の駆け出しが集まる町とか、そういう場所に降り立つと思ったんだが。
「とぼけてるの? どうやったか知らないけど、不法侵入よ。通報するわ」
美少女が言った。
「ち、違う、不法侵入だなんて、誤解だ!」
俺は慌てて弁解しつつ、ガドッシュに助けを求める。
通報って誰にだろう。森の自警団とか?
「ガドッシュ、どうしたらいいんだよ?」
『すみません、ボクにもどうしたらいいか……』
相棒も困惑しているようだ。
美少女が警戒心をあらわにする。
「ごちゃごちゃと何を一人でしゃべってるの? ますます危ないわね」
「あ、いや、その……」
そうか。ガドッシュの念話は、この子には聞こえないんだ。
『勇者様、とにかく早く誤解を解くべきです』
「わ、わかってるよ」
そう言われてもなぁ。ハードルが高い。
「あの、俺は別の世界から来た勇者で、今はガドッシュっていうこの背中の剣と話してて──」
しどろもどろになりつつ、なんとか説明を試みるが、何をどこから説明すればいいのかわからない。小説ではこういう時、主人公が口八丁で切り抜けることが多いけど、そんなのは俺には無理だった。
「ふざけないで」
そう言われてもしょうがなかった。
『通報ヲ感知シマシタ。タダ今カラ自宅警備魔法作動シマス』
突然、警報のようなブザーとアナウンスが鳴り響いた。
「え、え、ええっ!?」
うろたえていると、
「通報したわ」
彼女は手首に着けている銀色の腕輪に触れながら冷たく告げた。
その瞬間、世界が一変した。
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