第8話 管理人タイプⅡ
「えっ、あっ、はい。わかりました」
双子かよ!?
チョコレート属のパフェ科の生物として登録しておこう。
妹が着てる服の色合いは、完全に産業廃棄物で汚染された川の色だった。
どうすればその色味をだせるか? 国の有名研究所が動くくらいのやつだ。
水質検査をしてそれを公表しようとすれば謎の組織に命を狙われるだろう、もしくは百八十度変わって染め物をすればあまりに斬新な色でたちまちバズるだろう。
バズりがバズりを呼んでさらにバズる。
もうバズりの定期アップデートだ。
ハッシュタグはおそらく「#2018年この色がヤベー」「#世界のエモすぎる色、百選」
てか、なんか怪しいな? これってほんとはコントで――私たち同一人物でした。ってやつじゃないよな? 俺を試す試練みたいな。
――よく。見抜いたわね。これでおまえが寮に住むことを認めてやろう的な展開……にはならねーか。
「待たせてごめんね~」
妹は物腰柔らかめだけどあきらかに猫をかぶってる感があった。
かわいらしさを演出するためなのか
柔術開祖の俺が長男と次男、男ふたりを設けない理由がそれに当たる。
「この寮は姉と共同経営だから私がいろいろと説明するわね」
「ふたりでやってるんですか?」
俺がそう訊くと、黙りこんでしまった。
なんか悪いこといったか? 心ではわっるいこと考えてたけど。
しばらく沈黙がつづいてたがようやく重い口を開きはじめた。
「本当は義理の兄。サルエルが……」
「サルエルがね」
もう一度いい直した。
ドラマならけっこう重要なセリフだ。
「あばしり刑務所、いばしり刑務所、うばしり刑務所 <中略> と、たらい回しにされて。そうね、今ごろはきっとずばしり刑務所くらいね」
“ず”ばしりって濁点まであんの? ゴールはどこ【全国ツアー開催決定!!】詳しくは続報を待てってこと。
そもそも懲役何年だよ? なんでだか、妹はしみじみとしはじめた。
妹は大きな花瓶を口に持っていくとズズズと含んだ。
おい、ババアタイプ
花瓶なんだから花を挿せ花を、
「差し支えなければどんな
妹は涙を拭う仕草を見せた。
「
「そ、そうなんですか?」
知らなかった。
サルエルパンツにそんな由緒正しき歴史があったなんて。
ファッション史に名前刻んでるじゃん!!
あっ、またお茶を飲んだ。
妹、ちょいちょい
「けど、ほらあれって股下がムササビ的じゃない? だから
この町にはそんな生物がいんのかよ? ドリルねーちゃんってなに? 人? 百キロババアとかの仲間?
「そ、それで?」
「メガズッキュン!! してダブルミリオン突破した人が多発してね~。それで|サルエル
また涙を拭った妹。
こんな時代にダブルミリオン突破なんてそれはスゲー威力だろうな。
けどな~俺のような素人だとメガズッキュンにギガズッキュンも含まれてんじゃねーのって思っちゃうんだよな~? なんつーの重複カウント疑惑? ぜひ集計の方法を知りたい。
「なんでも公安警察っていう警察のリーガ・エスパニョーラみたいなのに逮捕されてしまったのよ。公安は警察のセリエA、またはプレミアリーグ、ブンデスリーガとも呼ばれてるらしいしの。ある意味、
四大リーグ制覇!!
妹、海外(サッカー)詳しいな。
「
妹はついに泣き崩れた。
最後はもう、“ふじこ”が出たからなにいってるのかわからなかったけど。
ワケありすぎ。
なにげに最後、フランスでさりげなく五大リーグ制覇してるし。
「あっ、とりあえず詳しいことはあとで訊きにきますので。とりあえず部屋に荷物を置いてきます。きっと
俺はそのまま、寮の中へ逃走……しようとしたが肩を掴まれた。
ヤ、ヤベー悪寒が走ってきた。
なにをいわれるのか?
「くれぐれも。ドリルねーちゃんには気をつけて」
そ、その表情、新しい村に辿りついたときに魔物に苦しめられてる村人がいうやつじゃん!?
「えっ?」
「壊れかけのレディオがあれば、それはドリルねーちゃんがひと暴れした証拠よ」
あっ!?
あったよ……商店街の入り口付近に壊れかけのレディオがいっぱい。
だいたいドリルねーちゃんってなんなんだよ?
「あ、あの、ドリルねーちゃんって何者ですか?」
「それだけは訊かないでちょうだい。そしてそれはこの村の
いま
突然ファンタジー感満載だな。
しかもドリルねーちゃんがボス級なの確定だし!!
白銀の聖杯だよハンズに売ってるやつじゃダメか? それに近いの売ってるの見たぞ。
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