シリアスなので、読み飛ばしていいです。

おれは自分の筋肉を指でまさぐりながら、聞き耳をたてている。

 畳の上に腰をおろす動作は音でわかる。小柄だ・・・

 それからきっちり、55秒後にさらに来客。だれなのかわからないが、足音でわかる。

 女だ。少し重量級。金属がわずかに擦れる音・・・

「お風呂ありがとうございます・・・お頭様・・・」

「ふぉっふぉ・・・そこに何がいたかのう・・・」

「賊が一匹・・・」じじいはよく聞こえるように笑う。こりゃ気付いてるね・・・

「風呂を汚さんでよかったわい・・・のう?」それはだれにいってまつかー。公開殺人ショーをご希望ですかーおれはがたがた震えた。

「先日の件・・・お庭番衆へのご推薦の話なのですが・・・」

「17歳で将来を決めるのは立派じゃ・・・じゃが!だめじゃ!」

「なぜでしょう・・・ふさわしくありませんか?」

「楓ちゃん・・・源治の孫娘だからじゃよ・・・」

「祖父の意志ではなく、私自身の意志です」

「なおさらだめじゃよ。楓ちゃんのお父さんは警察官。同じでよいと思うよ」

 いったい、こいつら、なにを話している?

「今日、うかがったのは、お頭様が弟子をとられたという間違った噂がありました」

「前の弟子は源治・・・あれから三十年は経つのか・・・楓ちゃん・・・おっぱい大きくなったのう!」

 そこでセクハラですか!いかん、口をだしてしまった!南無三!

 おれは引き戸を開け、軽くジャンプする。綺麗に前方回転・・・

 見えた・・・パンツ!じゃなくて! 麻陸楓の肢体の動作を!しっかりとな!

「部屋が汚れるかもしれませんがよろしいですか?!お頭様?」「外でやれ!」「常識だ!」

 おれはダッシュ!今日は何時間眠れることやら・・・裸足で外へ駆け出したときに、ズボンにつっこんである携帯電話が鳴った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る