女子高生に罵倒されて、旅に出ます。

どこかとおくへいこう・・・誰も知らない遠くへいこう

 おれは発券機の前で、『どこか、遠くへ』か『だれも知らない場所へ』というボタンが点灯されないか、何度も探し・・・やっぱり、なかった。

「ないぞおおおお どこへいけばいいんだあああああ」

 周囲の客は怪訝な顔で、おれを見ているが気にしない!

「駅員さーん!ボタンがないんですよーーーこの世から脱出するボタンはどこですかー」

 駅員Aはおれのことをわけのわからない目で見ている。錯乱しているようだ。

 そこはさすがプロ。小田原行きのボタンを押してくれた。

 さらば、諭吉さん。愛していたよ。こんにちは漱石8枚。君も大好きだよ。

 おれは江ノ島線を逆行する。

 携帯電話の着信履歴なし。おれの携帯は取り上げられた。

 これは政府が契約している携帯電話だ。電話番号の登録先は一件だけ。

 おれが契約している番号だけだ。おれとおれのホットなライン でるのはだれなんだ。

 なにかあったら、逐次報告することになっている。さらさら報告する気もない。

 捨てちまうか?いや、拾われたら面倒だ。どこかこっそり処分しないと。

 あーあ、失敗したなあ。成功報酬がスリーエスの正規雇用と昇給だったんだが、それは絵に描いた餅になりそうだ。あっちもわずか12時間で任務を放棄するとは考えてないだろう。監視がつけないからこうなるんだ。ざまーみろ。

 のんびり、乗り換えを行い、小田原の方向へ向かう電車に乗り込む。

 昼下がり・・・平和だねえ・・・窓で雑踏や風景を眺めながらしみじみ思う。

 変態行為一回ってのがあ甘かったなあ・・・しみじみ思う。

 学校さぼりのJK二人がいるなあ・・・可愛いなああ・・・しみじみ思う。

 忍者がいるなああ・・・のどかだねえ・・・と。しみじみ思わねーよ!

 確かに忍者だ。黒頭巾に黒の忍び装束。今、昼だぞ・・・!目立ってしょうがない。

 おれの肩までしかない忍者はJK二人をロックオンしている。

 やはり、痴漢か!

 あー無視無視!いや、楽しいから、じろじろ観察しちゃうぞ!

 忍者が女子高生をどう痴漢するか、じっくり観察しちゃうぞ!わくわくわくわくわく

 忍者は立ったまま、談笑しているJK二人に近づいている。

 距離が二歩と、縮まり、そこに風が吹く。そんなもの吹いてたまるかー

 しかし、見たとおりなのだ。JKのスカートは中途半端にめくれあがったのだ。

 忍者の両手には柄違いのパンツ 黒と白・・・普通だ・・・

「パンツげっとぉう ふぉーふぉふぉふぉふぉ!」

 子供のように喜ぶ忍者。

「いやーん」「おじーちゃんのえっちー」

 JK達の黄色い声に興奮しちゃう!

「すまなんだのう。これ、選別じゃ・・・」

 忍者は包装された女性用のパンツを二人に手渡す。

 あれ・・・この発想・・・おれと同じだ!

 JKの顔は中途半端な羞恥と妙なおかしみにとまどいながら、受け取っている。

「できれば、それを穿かしてやりたいのう・・・よいかよいか?よいかー」

「それはだーめ!」

 JK二人は車両からゆっくり離れる。走ると見えちゃうもんね!

 おれは隣のおっさんに聞く。

「ああ、足柄山の猫じいちゃんか もう90過ぎてて、捕まえてもなあ、ここの風物詩なんだよ。知る人ぞ知るってとこやね」

 なに、痴漢に慣れてんだよ。

「おれたちも見てて楽しいしー女の子達もなんか楽しそうだし、いいんじゃね?」

 いいわけねーだろーと普段な突っ込みをいれるとこであったが今回は遠慮した。

 おれは逃亡者なのだ。

 黒忍者は懐に生パンを入れ、おれをロックオンする!

 なんでーつぎはおれのパンツがほしいのう。あげるからこないでー

「金田金玉くん、みーつけたー」

 緊張が抜けていたのだろう。おれは画面がまっしろとなり、右拳を握りしめる。

「おれは金玉じゃねええ!しねええじじぃ!」

 暗転

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