第十八回 本を選ぶ基準として
本屋の陳列には、平積みと棚に置いてあるものがある。(アート作品のように積み上げたり目立つものも大きい本屋にはあるけれど)
平積みの本というのは視覚に訴えてくるので売れやすく、目立つ。一方で棚の本はあまり目立たず、売れ行きも良くないと聞いたことがある。
本屋に行って本を選ぶ基準はなんだろう。裏表紙のあらすじや表紙などの装丁、帯、タイトル、ポップ、作者、本を開いて最初の一文を読む人もいるだろう。
私は、本というのは自分が特別楽しめるものと、(好みや知識量などの要因によって)あまり楽しめないものがあるだけで面白くない本は存在しないと思っている。
そうであるならば、本を選ぶということは自分の好みを探すという作業に他ならないのだろう。私が選ぶ時の基準となるのは表紙、帯、タイトル、それと最後の一文だ。
表紙は本棚に並んでいて嬉しくなるもの。帯には小説内のセリフなど印象的なものが載ることが多いので、そこから雰囲気をつかんでいる。タイトルは直感。これら三つのうち二つ以上がグッとくれば購入というかんじだ。
「最後の一文は?」と思う方もいるだろうが、実はこれはたいした基準にはならず、読むこともたまにしかない。たまに壮大なネタバレを踏むこともある……。
最後の一文の魅力とは何か。
それは世界の閉じ方であり、余韻、余情、これからも物語は続くという予感をはらむ。最初の一文と同じくらいに最後の一文は重要で、最初に読むことなんて許されない神聖な領域。しかし、私は読む。秘密を暴く心持ちでそっとめくり、読む。
最後の一文の魅力とは文自体ではなく、この行為自体にあるのかもしれない。
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