第31話 通信装置防衛少女
「それで弁慶、新しい図面には何と記されている」
忠信さんを許(ばっ)した後、空気を読まない金髪の人がまた来て、同じように顔面を蹴り飛ばして、俺たちはさらに西へ向かった。
古湯温泉を抱く背振山から西の天山山中、相変わらずアウトドアライフをエンジョイしている俺たちの前には、新規プロトコルに基づいた、平行世界転移の図面が届いていた。それもご丁寧に新旧対照表突きでだ、これは吉野さんの欺瞞情報に晒されていた俺達へのサービスだろう。
「大まかな変更はございません、細部の変更のみです。ですがこれで安全性と正確性は5割増し、コストも3割減と言った所でございます」
何だかわからんが、凄い進歩だ。流石は過渡期の技術はちょっとしたことで一気に改良が進む。けど、重要な点はそこじゃない。
「ふむ、流石は政子殿だな、よく仕上げたものだ、それで我々だけで転移は可能なのか?」
「可能でございます、準備としては八正と送信機ににこれらのプログラムをインストールして八正空間を展開、後は本国からの引き上げを待つだけでございます」
「引き揚げってなんです弁慶さん」
「そうでございますね、八正である真一様には具体的なイメージを持っていただいた方が都合がよいでしょう。
我々は彼方の世界から見れば光も電波も届かない、深海に居るようなものでございます。
そこで本国に発見して頂くためには、自らの居場所をアピールすることと、救助の糸が切れないようにする必要性がございます」
「それが、さっき言ってたプログラムの事?」
「さようでございます。正確にはより明るく、より切れにくくするためのプログラムでございます」
「それで、釣り糸に魚が掛かったら一気に引き上げるか」
「さらに、魚が協力的ならば、障害物に引っかからない限りはスムーズにいくと」
成るほど、イメージは出来た。実際問題どれだけ大変かは知らないが、まぁ俺が知っておくのはそこまでで十分だろう。俺もスマホの仕組みなんて知らずに使っているし、テクノロジーなんてそんなもんだ。詳細はメーカーの人が知っていればいい。
さて、一息ついたところで、牛若には聞いておかなければならない事がある。それはもちろん忠信さんの語った内容についてだ。
「牛若、お前はどう思うんだ、その、忠信さんがたどり着いたGENの真実について」
「んー、そうですね。あの者がそう言うのでしたら正しいのでしょう」
意外だった、牛若は忠信さんの言った事を肯定した。だけど、彼の言った事が正しいとするなら。
「じゃあ、何故彼の話に乗らなかったんだ?別に忠信さんの首を切っていればよかったって訳じゃないが、それ抜きでも平家と和平を結ぶことは出来なかったのか?」
終わっているんだろ、お前の地球。と言葉に出さない思いを込めてそう言った。
「はっはっは、平家と和平、そんなものは個人的には死んでもごめんです、大体今回の事も最初から源氏だけでやっておけばこんな事にはならなかったのです」
「そうは言っても出来なかったと」
「むー、意地悪な主殿ですね。だから個人的にはと言ったじゃないですか。どうしょうもない場合は利用するだけ利用して、佩き捨ててあげますよ。
それとですね、忠信がたどり着いたのは忠信の真実です。それはそれで正しいのでしょうが、見方が違えば形も違って見えます。兄上もその真実にたどり着いているならば、兄上なりの答えが出ているはずです。
そもそも、この任務は、その兄上の答えを確かめるための任務なのです」
まぁそれはその通りだが。と、彼女の中で兄頼朝が完璧な存在である以上、これ以上彼女の答えを崩せそうになく、しょうがなしに弁慶さんの方を眺めてみたが、彼女はいつも通り特に反応するでもなく、通信装置のアップデートに勤しんでいた。
「真実ねぇ、俺の真実は何処にあるのやら」
特に意味なくそんな事を呟くと、牛若はけらけらと笑っていた。
「そう言えば、他に何か忘れてなかったっけ?」
「さて?何かございましたでしょうか?」
主従は頭を傾げ合う。弁慶はそれを見ながら、継信と屋島の事を考えていた。
「すると、貴方たちは避難民でもあると言う事ですか」
会話の流れが終局に入った事を感じ取り、今まで副総理に会話の主導権を預けていた。総理が切り出した。
「あぁそうじゃ、哀れでか弱い流浪の民の予定っちゅー訳じゃ」
「それほどの科学力がありながら……」
「まぁ儂の見立てじゃ、それ程の、いわば行き過ぎた科学力の招いた結果、と言うべきかもしれんがの。
そんな訳でどうじゃ、世界は違えど同郷のよしみ、なんとか都合してもらえんじゃろうか」
「……それでお断りしたら」
「くくく、わかっちょるじゃろ?」
「えぇ、我々が把握しているだけでも、今回の工事には各国のスパイがより取り見取りでしたし、外交ルートでも『うちも会談させろ』と矢のような催促が来ています」
「そう言うこっちゃ、儂らの世界に比べれば、お隣の国でさえ天気快晴じゃ、あそこやったら、ようけ土地余ちょるやろうから、返事二つで受けてくれるかもしれんの」
「それなら何故そちらに行かなかったのです」
「それこそ、さっき言った通り、同郷の民じゃからよ。儂ら平家は基本的に日ノ本の土地のもんじゃ。ならば折角同じ土地に移住できるっちゅーんなら、そこが第1選択しとなるのは可笑しな話じゃあるまい?」
「確かにそうだな、言語、文化、気候の変化によるストレスは弱者にとって重要だ」
「ははっ、話が早いのう、副総理さん」
「まっ、おれも、わが国も、色々経験して来たからな」
「くく、そうじゃそうじゃ、なら弱者どおし、仲良うしていこうやないか」
取りあえず近日中にまた話をすることを約束し、2人は船を後にした。だが、実質問題選択肢は一つしかないだろう事は両者ともに分かっていた。この船を隣国に譲ることは核など比べ物にならない強力な兵器を、喉元に押し付けられる事になるからだ。
だが、それは同時に。隣国にとっても同じことである。彼ら、いや日本は平家と共に世界をどうしていくのか、重大な選択を迫られていた。
「ッつたくよー。また魚飯かよ!」
船の最下層。厳重な警備が敷かれた牢獄に男の愚痴が響いていた。
とは言え、この世界の飯は滅茶苦茶新鮮で旨いんだがな、と手枷の付いた両腕で器用かつ大胆に骨ごとバリバリと魚を食らう男がいた。
大濠公園の戦いの際、平家の領袖となった、佐藤継信である。
彼は、源為朝の一撃を受け、両腕及び胸骨に数か所の骨折を追っていたが、現在はそれも完治している。
彼は、条約に乗っ取った自分の待遇に、主である牛若が無事である確率が高まったと、内心安堵をしていた。もっともその主はやる事や、やってくる事に追われ、すっかりと彼の事は忘れてしまっているのだが。
カツリ、カツリと硬質な足音を響かせて、誰かがやってくる気配がする。継信はそれを聞いただけで訪問者に当りが付いた。そのものは普段は足音など立てずに歩く。それになれてしまっている故、逆に足音を立てて歩くときは妙に正確なリズムを刻んでしまう人だった。
「どーした、伊勢の旦那。飯はもう食っちまったぜ」
「おやおや、相変わらず健啖家でございますね」
暗がりから顔を出したのは、ふと気を抜けば、その闇にまぎれてしまいそうな雰囲気を持つ男、伊勢義盛だった。
「ったく、あんたは相変わらず普通に歩くのが下手だねぇ。以前言っただろ、普通の人間は、そんなに正確に歩けはしないって。アンドロイドの連中が、不安になっちまう杓子定規さだぜ」
「はは、面目ございません。長年しみついた癖と言うのはどうも。雀百まで踊り忘れずとは、よくぞ言ったもので」
煮えたぎる様な、冷たい空気が、狭い牢獄を支配する。継信は熱く、冷たく。伊勢は暗く、透明に。
だが、その異様な緊迫感は牢屋側から直ぐに立ち消え。元の無機質な空気へと戻った。
「そんで?何の用だ旦那」
あっさりと引き下がった継信に、伊勢はほんの一瞬の呼吸を挟んだあと、会話を続ける。
2人の付き合いも短くはない、その一瞬の空白で十分だった、彼らにとって戦場で得られた絆とはそう言ったものであった。
「2・3お伝えしたい事がございまして」
「ほう、何だい?」
「先ず、屋島さんですが、現地人の医療にご協力いただいています」
「まぁな、あいつならそうするだろう。口は嘗め腐ってるが、自分の芯は忘れない奴だ」
「そうですね、その話術を生かし、現在は肉体面の治療から、メンタルケアへと移行して頂いています。因みに伝言が無いか尋ねたのですが、『特にないから元気で』とのことです」
「ったく、あの女は」
にやけ笑いで、そう言ったのが目に浮かぶ。あいつは俺をおちょくる事と、医療の腕前だけは天下一品だ。そう言えば最近は大将がお気に入りだったが、大将は……。
「続いて、佐藤真一様でございますが、現在牛若様、弁慶さんと共に行動中でございます」
「さっすが、嬢ちゃんの見込んだ大将だ、あれから生き返るなんざ訳が分からねぇ」
「そうですね、その事については多少興味を持たれている様子でございます」
「っち、そいつは嫌な知らせだ」
だが、まぁ仕方ない。大将のおかれた特異的な状況、いや状態は二つの世界を通しても前代未聞の状態だ、奴がほっておく訳はない。
「んで次は?話は2・3あるんだろ?」
「……はい、ですから2つで。今回はここまででございます」
そう言って伊勢は影に消えた、今回は足音を残さずに。
「っち、少し聞き分けが良すぎたか」
継信はそう独り言ちる。まだ聞きたいことは多少あったが、これで終わりらしい。だが、最重要課題は聞けたので良しとしよう。嬢ちゃん達は無事に行動している。これ以上の報告は贅沢と言う事だろう。
忠信の事は……、どう転んでもうまくいかないだろう。
「ったく、馬鹿な奴だ」
くしゃりと、紙コップがつぶれる寂しい音が微かに響いた。
「それでは、準備を開始致しますでございます」
準備は整った。だが、転移するには俺たちの存在を、彼方から存在認識してもらうため、この状態から出来るだけ動かずに、10分間程度待つ必要があるとのことだ。黎明期の銀板写真の様なもので、今後はこの短縮も課題であるとかメモに記されてあった。
だが、俺は彼方が当初想定している八正よりもずっと出力の高い存在。だから、じっとできれば通常より早く認識は早く済むはずだが……。
「まぁそう焦んなよ、特別に別の八正おいてやるから、それに付け替えちゃどうだ」
当然、妨害が入り動き回る分、その時間は伸びてしまう事になる。八正空間を展開し、待機状態の俺たちの元へ、奴らの軍勢が攻め込んできた。
「断る」
牛若は、言葉は無用とばかりに、太刀を抜き低く構える。前のめりの構えは闘争心の高ぶり、得物を前にした豹のようだ。しかしこの敵は今までにない発言をした。奴の狙いは牛若でなく、八正(おれ)だと言う。まぁ自分の置かれた状態を思えばおかしくないが、こう改めて指名されたのは初めてだ。
『おい、牛若。あいつは誰だ』
「平のクソ馬鹿猪武者、教経(のりつね)です」
『馬に、鹿に、猪か、1人動物園だな』
「その通り、ですが、与えるエサはこの白刃で十分です」
「おいおい、手前の声は聞こえてんぞ小娘」
「聞こえる様に言ってるんだ、この海猿。何ならもっと風通しが良いようにこの太刀で両耳の貫通式を挙げてやろう」
いや、控えめに言って死ぬと思う。しかしこいつが平家の武の象徴、平教経。ここにきてとんだ大物が、見送りに来てくれたもんだ。
「はっ。相変わらず良く回る口だ、だがさっき言った通り、俺が用のあるのは貴様じゃなくその八正の小僧だ、そいつは平家が回収する」
『回収って、物扱いか。いやまぁ今は物だけど。だけど、俺はこいつに用は無い。俺はこいつ等の犯した罪を知っている、こいつ等のせいで流れた血の量を知っている、牛若、やるぞ、こいつ等を蹴散らし、お前のウチに帰ろう!』
「了解です主殿!」
「来いや小娘!」
剣戟の幕が開ける。
牛若が、攻勢にでて、弁慶が通信装置の守勢に当る。だが、教経は強い、牛若は彼に張り付きとなり、弁慶はその他全てを相手に守り切らねばならなかった。
弁慶への包囲の指揮を取っているのは、維盛。彼は白銀の鎧を煌めかせながら、陣の後方で太刀を軍配代わりに声を張り上げる。
「くっ、前回までの襲撃で、彼女の攻略は10割完了していたのだがね!だがまぁ今回は彼に花を譲ろう、なに、僕が提供したデータがあるんだ。万が一にも教経君の負けは無いさ!」
派手なのが何か騒がしいと、弁慶は取りあえず七つ道具のまさかりを投射する。超質量のそれは、高速回転でさらに破壊力を増しながら、声の発生源に着弾し、仁王立ちをしていた維盛を、とっさに逃げようとしていた周りの者ごと吹き飛ばした。
戦の時の牛若はとにかく早い、剣速が早く、足運びが早く、思考が早い。自分が小柄で軽量なのを利用し、あえて刀身に重心を預け、振り回されるようにクルクルと回る。
剣戟の音が鳴り響く。
対し教経は、自分の軸を揺るがしもせず、堂々とした態度で、裂帛の太刀を振るう。上下左右、様々角度から襲い来る牛若の太刀を、正面から叩き潰して行く。
剣戟の音が鳴り響く。
牛若がしかけ、弾かれ、反動で逆を狙い、また弾かれる。甲高い金属音が、絶え間なく鳴り響いていく。
それにしても、よく合われられる。牛若は音が喧しいとか言うふざけた理由で、相手の太刀と合わせることを嫌う。以前の義仲との戦いでも、アンカーとして使ったり放り投げたり散々な使い方をしていたが、剣戟の音はあまり聞かなかった。
それが、今回は最初からかみ合っている、いやかみ合ってしまっていると言うべきか。牛若最大の強みとも言える、千差万別な戦闘法が封じられていた。
時間稼ぎとして考えるなら最適だが、こいつに一太刀も浴びせぬままでは、寝覚めが悪い。俺に出来る事を考え集中する。
草木の揺らめき、土地の起伏、地下水の流れ、大気の密度、何を牛若に伝えれば膠着を打破できるのか、優勢になるのか。
集中する、集中する、集中する!
足元にあった石につまずき、教経が姿勢を崩す。
「チッ!」
小さく、突き刺すような気迫を込め、牛若はその隙を逃さず、一気に攻勢をかける。膠着していた天秤が牛若に傾く。
「くっ!」
戦況を仕切り直そうと飛び退いた教経の足元に、木の根の出っ張りが引っかかり、さらに体勢が崩れる。
守勢一方になった教経は、それでもなぜかニヤリと笑う。だが、その視線は牛若に向けられたものではない。
ぞくりと背筋に冷たいものが走る。気が付かないうちに何かの一線を越えてしまった様な気がした。
「おい貴様、主殿に不快な視線を向けるな」
「はっ、主殿ね。まぁいい、知盛に言われた時は訳が分かんなかったが、実際に目にしても訳分からん、しかしそれ以上に興味深い気配がする」
「興味深いだと、貴様ら修道の気があったのか?」
「吐きそうな事言わないでくれ。それより気が変わった、少々本気でその手首叩き落としてやるとしよう」
攻め手が変わる。
今までは太刀だけで戦っていた教経が、肘や蹴りも使用してきて、その圧倒的な体格差で牛若を押し始めた。
珍しく、牛若が戦術の器用さで押される形となった。両者は殆ど密着状態で、太刀の勝負と言うより体術の勝負となって来た。体格差を埋めるための武器なのにそれを封じられてしまっては、不味い事この上ない。
この間合いでは太刀は邪魔、かと言ってそれを捨てれば間合いを取った相手に一方的に切り捨てられる。流石に平家最強の兵、悔しい事に力と技術と経験の備わった戦巧者と言わざるを得ない。
膠着状態の中牛若は太刀を逆手に持ち替え盾として、蹴りに当てる。
寸前、教経は目標を脛から太刀の鎬に変え蹴り払う。
回転、牛若はその勢いを利用し、逆手に持ったまま半回転する。
切落、牛若は、上下逆の体勢で逆手に持った太刀を思い切り振り上げる。
ギンと一際高い音がして、教経は寸の所で頭頂に振り下ろされた太刀を受け切る。続いて
そのまま太刀を押し、空いた隙間に真横一閃。だが、牛若はそれに太刀を合わせゴム毬の様に跳ね跳んだ。
「牛若様、転移可能でございます」
彼方は彼方で、どうにかしのいでいる弁慶さんから、呼び声が掛かる。
「ちっ!」
「くそ!遊び過ぎたか」
距離を取り合った二人はにらみ合う。強い、為朝さんの様な規格外の存在は別として、人として地に足のついた、重厚な強さだ。
今までの攻防で、牛若の額には汗が浮かんでいるものの、奴はまだまだ余裕に満ちている。
「興がそがれた、今回は見逃してやる、尻尾を巻いて逃げかえるんだな」
「…………」
牛若は、大人しくそれに従い納刀し――
――鞘を持った左手をこっそり、背中に回し。腰に当てていた拳銃を抜き放って連射する。
「ちっ!この小娘!」
だが、敵もさるもの、後ろ足で砂をかけるようなその攻撃にキッチリと対応し、迫り来る銃弾を切って捨てた。
「馬鹿犬が!今回は見逃してやる!頭を抱えて逃げかえるんだな!」
牛若はそう言い、隠し持っていたグレネードを投擲、緩い速度で弧を描いて投げられたそれは奴の手前上空で爆発した。
「弁慶!行くぞ!」
「了解でございます」
弁慶さんの元にたどり着いた俺たちは、弁慶さんの合図で光に包まれ、この世界から掻き消えた。
不思議な空間を通っている。
上下があやふやで、色と光に溢れていると思いきや一寸先も見通せない、完全な闇が訪れる。VR空間を展開する際に通る空間に似ているが、それよりももっと深く広い空間だ。
そこに俺たち3人は光の偶に包まれて浮いていた。
「取りあえずは引き分けか」
「さようでございますね」
「むー、もう少し時間があればですね」
牛若がゴチャゴチャと言っているが、引き分けと言うのはどう考えても身内贔屓。誰が見ても判定負けと言った所だろう。
「ですが、最後に投擲したのは追跡用の悪臭ガスです、あの馬鹿熊、洗っても洗っても3日は匂いが取れますまい」
くくくと邪悪そうに笑う牛若。うーん、嫌がらせ係数をポイントに入れれば引き分けでも間違いじゃない気がしてきた。鼬の最後っ屁とはまさにこのことだろう。
「あー、それでですね主殿に1つ聞き忘れていた事があったんですが」
「何?忘れ物?継信さんのことなら、お前が根拠のない太鼓判押してたじゃないか」
「いえ、あの者の事ではなく」
「ふん、何か?」
何かあっただろうか?継信さん達ならあの状況から見ておそらくは平家に捕えられているだろう。博多の惨状も奴らのマッチポンプながら復興は高速で進んでいるらしいし……。
「主殿の学校と、ご両親や友人などについてはよろしかったんでしょうか?」
さぁと血の気が引く。
こうして俺達、いや俺はあらゆるものを置き去って、牛若達の世界へと転移することとなった。
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