第27話小西 由佳子2-8

「田中さんって見た目は大人しそうで可愛いけど、ああいう子に限って遊人だったりするよね。

怖いな~。でも良かったじゃん。本性が見えて。

深入りする前に引き返せて良かったね」


「田中ぁ・・・・・」


高谷は見る見るうちに顔を真っ赤にし、不機嫌になっていった。

怒ってるよ。

そうだろうね。

この手のバカは、自分がバカにされたとわかれば、周りが見えなくなってすぐカっとなる。

扱いやすいったら、ありゃしない。



「って事で、またしばらくの間、私と高谷さんの2人っきりシフトが増えるから・・・・。

私なんかでごめんね。嫌だよねー。

旦那が居て子供が居るおばちゃんと一緒に仕事なんて・・・・」


視線を落とし背を向けると、背後から抱き寄せられる。



「そんな事ないよ。

由佳子は優しくて気が効いて信頼出来る素敵な女性じゃん!」


「そうかな?はい、これ。

高谷さんに似合うかな~?って思って買ったの。

気に入ってくれると良いな」



と、本日の貢ぎ物を手渡すと



「ありがとう。愛してるよ」


満遍の笑みでぎゅーっと抱きしめてくれた。

またこの笑顔が私の所に戻ってきた。

幸せ。



時間が来て、本日はお別れ。

でも明日も職場で2人っきりで会える。


本当に単純だなー、コイツ。

これでまた私の立場は安泰っと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る