第2話

-1-

しょうこはすごく可愛い女の子だった。たくさんの人の中にいても全く溶け込む事のない、目立つ女の子。


着る服も、持つ小物も、爪いちまいに至っても、輝かしく気高くみえた。それらはぜんぶしょうこがいなかったら、たちまちゴミみたいになってしまう。

しょうこは、そういう魔法を纏っている女の子だった。




-2-

中学に入った時に、わたしはたちまちその女の子を見つけだした。うちの学校にいた人みんなが、そうだったと思う。

なんて可愛い女の子だろう、と、初めてみた人はみんなびっくりした。

入学式が終わって新しいクラスにそわそわするんだと思っていたのに、頭ではぜんぜん別のことを考えるはめになってしまった。

友達を作ることもほっぽらかして、あたらしい机で教室の扉を見ていた。そのドアから、運命みたいに、あの女の子が入ってくるのを期待して、待っていた。名前も知らないけど、そうだったらいいなと思っていた。


チャイムが鳴って、先生が扉を閉める動作でようやく現実に戻ることができたけど、その事にもっとがっかりして、少し現実に戻った。

どのクラスなんだろう。

静かな静かな教室で、先生の声がたんたんと響いている。簡単なオリエンテーションの説明があって、じゃあ自己紹介、と先生が言ったところで、がらっと音を立てた扉は、とても目立っていた。

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