管理人 ぽん


 社交的で明るい、は表面。

 シェアハウスの管理人であるにも関わらず、殆ど自室に引きこもっていて会話をしないガチオタク、それが「ぽん」だ。

 補足をすれば、学生時代は短気が代名詞で、よく男子と取っ組み合いの喧嘩をしていた。

 SNSに友達が書いた紹介文の9割には「怒ると怖い」と書いてある。

 ただ、一部の人からは「とんだヘタレ」と言われている。


 職業は不動産の賃貸管理。と言う名の半ばニート。

 夜行性ゆえ夜に活動し、昼まで寝て夕方から仕事を始める、、、社会人としては最底辺の人間だ。

 管理人を良く知る業者に関しては、全員が「朝から…………でもいい?ごめんね」と、断りを入れてくるレベルで、朝は連絡がつかない。

 電話を持たない・出ないことでも有名で、親しい友人に関しては、家まで突撃してくることもある。



 そんな私、ぽんは、この家に住むうちに仏の境地(一般人で言う平常心)を身につけた。


 少々潔癖が入っているせいで2年間は毎週大掃除をしていたのだが……

 同居人たちのお陰で「完璧」を諦めた。

 日々溜まる埃、流し場の髪の毛、排水溝の食べ物の残りかす、油の飛び散り……

 いくら頑張ろうとそれらは、無くなる気配がない。

 


 見て見ぬ振りが、できるかどうか。



 シェアハウスで暮らして行く上で一番重要な心構えは、これだ。 



 



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