シェアハウスの実態、教えちゃいます☆

ぽん

はじまり

 

 過保護な毒親から逃れるべく、シェアハウスを始めて4年。

 駅までは徒歩10分、古い町並みながらも近所にはスーパーや図書館が立ち並ぶ好立地の6LDKは、本日も殺伐とした空気が流れている。


 毎日が飲み会!

 家に帰れば、皆で楽しくわいわいひゃっほー!

 

 ……我が家には初めから、TVで見るような煌びやかな生活はない。


 最初は夢を見ていた。

 シェアハウスをすれば、友達が増えて、毎日が楽しくなると。

 だが、ひゃっほー!なシェアハウスに遊びに行ったり、話を聞いたり、そこから流れてきた入居希望者の愚痴を聞くうちに、私は察した。

 

 シェアハウスって、アム●ェイやん。(※宗教的なものという意味)


 そりゃあそうか。

 友人・知人でもない初対面の赤の他人同士が、どうして初めから仲良く酒を酌み交わせるのか。一緒の風呂に入れるのか。財布を居間に、放置できるのか。

 それは、その家のTOPに君臨する人間が、教祖的な扱いになって取り仕切っているからだ。

 

 ……なんせ管理人、出無精なコミュ症なもので、その辺りの原理がわからない。

 教祖的な扱いをされたこともないが、教祖になろうと思ったことも、我が家を宗教法人にしようと思ったこともない。



 うちの家はこんなに楽しくて~!魅力的で~!毎日パーリナイ!


 ほうほう……

 家賃高いな。んでもって、家の中超きたねぇ。


 少し自慢しておくと、他のハウスから流れて来た人は100%、我が家を綺麗だと言う。台所に関しては特に、生活感が出まくっていると思うが……

 これより汚い家、となれば私は住めない。

 なんせ管理人は、黒い走り屋を討伐することができない。


 ついでのついでに、男女が集まれば必然と愛が始まり……

 どっぷり自分の世界に入ってしまう主人公たち以外が、家に居づらくなる模様。



 それならば、と決まった我が家の方向性は「ドクジョ」だけを集める。



 ルールや制限などは、殆ど存在しない。

 ただ、暗黙の了解で「人には干渉しない」ことが決まっている。

 各々の生活は、各々で。

 半ば一人暮らし状態のシェアハウスに苦笑いする人も多いが、私はこれでいいと思っている。


 なんせ方針を固めてからは、ほぼ満室状態だ。




 ここからは、愛すべき我が家の個性的な入居者と、日々の些細な生活を綴る。

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