第3話 105号室

占いなんて誰か信じるものか。そう思っていた。

しかし今私はそれに縋らないと生きていけないようになってしまっている。

最近購入した本は占いの本ばかりだし、朝の星座占いも雑誌の誕生月占いも血液型占いも毎日欠かさずチェックしている。

確か先週乙女座が最下位で、でかけるとショックなことが起こるでしょうと放送していたから、仮病を使って会社を休んだ。

それから何かしらの占いで良くない結果ばかり出るものだから、外に出たくなくなった。

こんなにも影響されるとは、二年前の自分なら先ず信じないだろう。

きっかけは、知人に紹介されたよく当たるという占い師に占ってもらったことだったような気がする。彼は占いなんて馬鹿らしいと思っていた私のこれまでの人生を言い当て、そしてその直後に起こった出来事を予言したのだ。偶然にしては出来すぎていたその出来事をきっかけに、私は占いにのめり込むようになった。

閉め切ったカーテンの隙間から光が差し込む。今何時なのかさえ自分で把握出来ないほどに私の体は消衰していた。

毎月購読している雑誌の占いで、悪い夢を見るかもと言われてから一睡もしていないのだった。それこそ傍から見れば馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、悪い夢なんて見たくないから眠らないだけだ。もし見なかったとしても、可能性がある以上私には眠らないという選択肢しかなかった。

占いの効力だとか、そんなことはどうだっていい。

ショックなことが起きる可能性や、悪い夢を見る可能性を私は自ら断絶したいだけなのだ。

一昨日から続いていた会社からの電話はもう途絶えてしまった。

無断欠勤を重ねている私を、見限ったのだろう。

留守電に課長から、もう君は来なくていいって伝言が入っていたようななかったような。

そういえば昨日の占いで、人生の転機になるような重大なことが起こるって言ってたな。すごい。当たった。

つきっぱなしのテレビから賑やかないつものメロディーが流れてくる。占いの時間だ。

「乙女座のあなたは超ハッピーな一日を過ごせそう!恋が始まる予感。ラッキーテーマは花占い!」

花占いか。昨日の夜睡魔に襲われた時、それに耐えようと悪い夢を見るか否かで花占いしたけど、またしよう。

昨日の結果は悪い夢を見ると出たから、こうして一睡もしていないわけだけれど。

花がないから買いに出かけきゃ。

私は、花びらだらけのリビングを後にして玄関を出る。

すると、隣からもドアが開く音。

「あ、」

占いなんて誰か信じるものか。そう思っていた。

しかし今私はそれに縋らないと生きていけないようになってしまっている。

最近購入した本は占いの本ばかりだし、朝の星座占いも雑誌の誕生月占いも血液型占いも毎日欠かさずチェックしている。

確か先週乙女座が最下位で、でかけるとショックなことが起こるでしょうと放送していたから、仮病を使って会社を休んだ。

それから何かしらの占いで良くない結果ばかり出るものだから、外に出たくなくなった。

こんなにも影響されるとは、二年前の自分なら先ず信じないだろう。

きっかけは、知人に紹介されたよく当たるという占い師に占ってもらったことだったような気がする。彼は占いなんて馬鹿らしいと思っていた私のこれまでの人生を言い当て、そしてその直後に起こった出来事を予言したのだ。偶然にしては出来すぎていたその出来事をきっかけに、私は占いにのめり込むようになった。

閉め切ったカーテンの隙間から光が差し込む。今何時なのかさえ自分で把握出来ないほどに私の体は消衰していた。

昨日、毎月購読している雑誌の占いで悪い夢を見るかもと言われてから一睡もしていないのだった。それこそ傍から見れば馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、悪い夢なんて見たくないから眠らないだけだ。もし見なかったとしても、可能性がある以上私には眠らないという選択肢しかなかった。

占いの効力だとか、そんなことはどうだっていい。

ショックなことが起きる可能性や、悪い夢を見る可能性を私は自ら断絶したいだけなのだ。

一昨日から続いていた会社からの電話はもう途絶えてしまった。

無断欠勤を重ねている私を、見限ったのだろう。

留守電に課長から、もう君は来なくていいって伝言が入っていたようななかったような。

そういえば昨日の占いで、人生の転機になるような重大なことが起こるって言ってたな。すごい。当たった。

つきっぱなしのテレビから賑やかないつものメロディーが流れてくる。占いの時間だ。

「乙女座のあなたは超ハッピーな一日を過ごせそう!恋が始まる予感。ラッキーテーマは花占い!」

花占いか。昨日の夜睡魔に襲われた時、それに耐えようと悪い夢を見るか否かで花占いしたけど、またしよう。

結局悪い夢を見るという結果だったから、こうして一睡もしていないわけだけれど。

花がないから買いに出かけきゃ。

私は、花びらだらけのリビングを後にして玄関を出る。

すると、隣からもドアが開く音。

「あ、」

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