第2話 無邪気

「ねぇボスモンキー、レッドの他に何色のカラーギャングいるの?」

「しっ!ばか、新宿にはいったんだからもっと静かに喋ればか!」


新宿を囲う隔壁の内側に入ったボスモンキーとドッグ。新宿の中はまだ数多くの食料が残されているが、必然的にそれを狙うほかのカラーギャングも多い。


「いいかドッグ、新宿に入ったらなるべく身を低くしてろ。じゃないと【グリーン】の奴らに狙われるからな」

「ほかのカラーギャング、ですか」

「あぁそうだ。奴らは5つあるカラーギャングの中でも厄介な連中だ。アキバに拠点を置いていて、『大人達の遺産』をほかのどのカラーギャングよりも所有してるらしい。」


自らの所属するカラーギャング【レッド】を象徴する真っ赤なパーカーのフードを目深に被り、物陰に身を潜めながらゆっくりと進んでいく。


「あのぉ、ぼくらのチームシンボルである赤いパーカー、目立ちすぎません?」


前を行くボスモンキーに続きながら少しデザインの異なる、しかしこれも鮮やかな赤色をしたパーカーを一瞥しながら疑問を投げかける。


「ばっか、お前、バカ野郎これは俺らの誇りだぜまったく」

「でも、【ブルー】は青いアクセサリーならなんでもいいって聞いてるし…【グリーン】のシンボルはなんなんです?」

「あぁ、あいつらはヲタクの集まりだからな、みんな迷彩服着てるぜ」

「だから【グリーン】かぁ」


人間は徒党を組む生き物だ。少ない食料を奪い合う中でいくつかのグループが作られていった。細々とした無数のチームは、いつしか強いカリスマを持つ5人の少年少女たちの傘下にそれぞれ入っていった。彼らはグループで『色』をシンボルに掲げ、赤青黄緑黒とモチーフになるものを身につけ、いつしかカラーギャングと呼ばれるようになった。

呼ばれるようになった、というのは、この大きな力をもつ五つのグループに属することの出来なかった弱者から見て、だ。1人、あるいは多くても4、5人のグループを組むのが精一杯で、あるものはプライドから、あるものは力の無さからカラーギャングになれなかったもの達が居る。カラーギャングは『大人達の遺産』と呼ばれる武器を独占している。大人達が死ぬ直前、隔離都市東京の内部は地獄だった。1分1秒を延命するため、または残された子供のため食料を得ようとする者たちが世界中から武器、銃器を手に取って殺しあった。大人達が死んだ後、その殆どはカラーギャング達が回収し、日々を生きるために使っている。【グリーン】はその中でもとくに大人達の遺産を多く所持するグループだった。


アキバに所属する彼らは、軍事知識、子供らしい言い方をするとミリタリー知識に長けた少年をリーダーにおく集団である。そんな彼の元に集まった、いわば『ミリオタ』達が大半を占めている。しかし、なんの知識もない者と比べれば統率の取れた行動や、高い制度での射撃を得意とする者達が多い。


そんなグループの中から、今日は4人が新宿へ狩りに来ていた。

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東京チルドレン 啄木鳥 @Gun__Romance

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