勝利の鐘は青空に響く
夜野さくら
第1話 フィールドの記憶
熱気を含んだ風が爽やかに吹き抜けた。
眼前には緑の海原、身を包んだオレンジ色のユニフォーム、全身を揺らす割れんばかりの観客の声援。高鳴る鼓動は一向に治まる気配はない。
目の前の階段を上れば、そこにはもうピッチが広がっている。両チームの選手たちは、入場を今か今かと待ちわびている様子だった。
俺はゆっくりと目を閉じ、胸に手を当てた。そうだ、これから俺は――
目を閉じ真っ暗な視界には、これまでの人生が色鮮やかに映し出されていた。これまで、本当に色々なことがあった。楽しいことも辛いことも、本当にたくさん。
――この景色が、見えているか? この声が、聞こえているか?
俺は誰かに語りかけるように、心の中で呟いた。呟きながら、12年間のサッカー人生に想いを馳せていたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます