夜半

ののこと

夜半

 夜が怖くなくなったのは、いつからだろう。


 迫りくる深い闇。

 不気味な程の静けさ。


 見えない何かに追われているようで、

 何もない世界に吸い込まれるようで。


 ただただ怖いと泣いた私を、

 温かな手が、体温が、優しく包み込む。


 安心して微睡む私を、微笑ましく見守る影。

 いつだって導いてくれた。


 夜が怖くなくなったのは、いつからだろう。


 闇夜を照らし続ける灯火。

 途切れることのない外の音。


 決して休まることはないと言われているようで、

 平穏を欲しがる自身が怠慢であるかのように。


 疲れておやすみと投げかける私を、

 温かな手が、体温が、優しく包み込む。


 そう。

 気付いたんだ。


 沈み込む闇からもがく私を、

 常に支えてくれていることに。


 ぼんやりとそんな思考に微睡む私を、微笑ましく見守るあなた。

 いつだって導いてくれている。


 ありがとう。

 もう夜は怖くないよ。


 そう告げる私の声は、

 あなたに届いていますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夜半 ののこと @nonokoto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る