第148話 豪勢で贅沢なお買い物
その後。
とりあえず皆、寮へ帰って一眠り。
その前に、
『パーティ用にマグロを捕りに行きませんか』
なんて念話が三郷先輩から全員にあったり。
苦労させられた女子陣中心に、それを押しとどめたりする一幕があったり。
結局。
今回は皆疲れているので出来合いの物中心に買い集めよう。
そういう結論になった。
なのでパーティ参加者全員。
つまり三郷先輩を含めて6人でお買い物だ。
店はいつものラルフスではなくゲルソンズというスーパー。
「今日はスポンサーのおごりだから予算気にしなくていいですよ」
と三郷先輩が言ったのに松戸が反応しての結果だ。
松戸曰くかなり高級なスーパーらしい。
松戸は家は金持ちの癖に貧乏性なところもある。
金があるからこそ使い過ぎないように徹底しているのかもしれないが。
「うーん、いつものスーパーと雰囲気違うです。何か高級感あるです」
みらいの意見に俺も同感。
確かに高級感がある。
所々に店員がいて、客が取った物をすぐ補充したりしている。
ついている値札も強気だ。
「ホールフーズよりさらに高いスーパーだからね。日本で言うと紀ノ国屋かな。値段は高いけれど味は保証するわ」
と松戸が解説。
ちなみにいつものスーパーとはラルフスのダウンタウン店だ。
いつものスーパーの基準が何か間違っている。
エコスとかヤオコーといった学校から近い日本のスーパーでないところに。
全部時差と松戸のせいなのだが。
三郷先輩が精力的に動き回っている。
金属のショーケースに入った総菜を片っ端から見て回り、店員に質問しては色々買い漁っている。
なお本人は、
「英語は苦手で単語しかわからないですが、情報収集能力で相手の言っている意味は理解できるです」
との事。
ちなみに三郷先輩は本当に腕力がないらしい。
握力も10キロ無いとのこと。
だからみらいが付き添っている。
なお三郷先輩の義足は事案発生時に調整中だった例の新しい義足。
完全に普通の脚にしか見えないが異空間移動機能や飛行機能もついている。
さすがに戦闘機動が出来る程の性能ではないらしいが。
松戸は松戸で色々なコーナーから、独特の情報網で厳選された逸品を探してくる。
さっきは1瓶で9ドル近くする高いジャムを3つカートに入れていた。
「これは日本で買うと倍近くするの!ここは全種類揃っていておすすめよ」
いやお前日本以外も移動自由自在だし金持ちだし。
いつでもここで買い物できるんじゃ。
そう思ったがそれを言うのも無粋か。
綾瀬は調味料やドレッシング、ソースのコーナーを延々と周回している。
残されたのはカート担当の俺と委員長。
他の連中程食にこだわらない2人だ。
「……他の連中の買い物を見て、バランス良くなるように買い物をしようか」
「ん、そうだね。何かみんなこだわり強そうだし」
という訳で俺は委員長とゆっくり各コーナー見ながら歩き出す。
しかし俺も委員長も残念ながら買う物を選べなかった。
例えばパーティ用のクラッカーを買おうとコーナーへ行ったところで。
だだだだっと松戸がやって来てお勧めクラッカー箱2つをカートに入れて消えた。
パンのコーナーへ行ったら松戸と綾瀬が突如出現。
お勧めらしいパン数種を2人で選んでカートに入れて姿を消した。
そして総菜は既に選ぶ必要が無い程三郷先輩とみらい組が取っている。
総菜コーナー以外の場所にあったローストビーフや刺身類も松戸によって追加済。
せめてドリンクはと思ったが、これもコーナーへ行った途端に松戸がお勧めを数本入れて去って行った。
とどめに綾瀬が厳選した調味料とソースや缶詰やドレッシングを突っ込んだ。
カートは怒涛の山積み状態。
セレブなマーケットなのにセレブじゃない買い漁り状態だ。
俺と委員長が選んだものはただの一品もない状態。
レジで清算中、金額が200ドルを超えた時点で俺は見るのを止めた。
いくら高いスーパーとはいえ、どんだけ買っているんだお前ら。
主な戦犯は三郷みらい組だ。
何せポンドあたり10ドル以上する総菜を大量に買っている。
松戸も有罪。
いつも買わない高級食材を何点も買っている。
綾瀬もきっと有罪。
最後に追加した高級缶詰数個の罪は重い。
なおいくらかかったかは知らないが、代金は三郷先輩がカードで払ってくれた。
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