第133話 昼食バトルも終盤戦
さて、あれだけ話しながら食べても刺身の皿が既に空になりつつある。
綾瀬が諦めてキッチンに追加の刺身を切りに行った。
委員長がネギトロと米飯の割合が間違っているネギトロ飯を作って食べている。
負けじと守谷が漬けと赤身とタイの身を混ぜ込み色々配分が間違った混ぜご飯を作ってかっ込む。
三郷先輩が箸を刺身の皿の上で滑らせ、一気に十数枚を箸でつまみプルプルさせながら自分の皿に持っていった。
ふと俺は昔のドラマの主人公の決め台詞を思い出す。
『俺の胃袋は宇宙だ!』
こいつらの胃袋も宇宙なんだろう。
きっと餓鬼とか邪神とかが満ち溢れた。
綾瀬が刺身を追加した皿を持ってくる。
ちゃっかり自分の分を盛った別皿も持ってくる。
松戸が空になりつつある皿を整理しつつ残った刺身と今きた刺身を分捕る。
俺はもうこの風景だけでおなかいっぱいだ。
一応ラーメン丼にてんこ盛り分は食べてはいるから当然ではあるが。
「それにしても松戸家、いい家だったです」
「ん、台所も広いしLDKで20畳以上はあるんじゃないかな」
「普通の皿が全てノリタケ、ここの皿もそう」
松戸が肩をすくめる。
「皿は厚木のノリタケアウトレット閉店時にまとめ買いしたから安かった、って母が言っていたけれどね」
「ノリタケの皿って高いのか?」
綾瀬に聞いてみる。
綾瀬は俺が丼代わりに使っている四角くて大きい平皿を目で指して言う。
「例えばそれはシェールブランの27センチスクエアプレート、1枚5千円位」
え、このただ白い四角い皿がですか。
確かによく見ると繊細な模様があったりするけれど。
「安い方。例えば松戸家で出されたティーセット」
「ん、あの各皿色違いの桜の絵が入ったかわいい奴かな。神立先輩が好きそうだなと思って憶えているけど」
「あれは大倉陶園の手書きのシリーズ。一客で数万超える」
うーん、我が家のダイソーやセリアのものとは値段も格も違う。
「車用は収納考えて四角い食器メインにしたって母が言っていたわ。あのティーセットは家を新築した時の頂き物だし」
松戸はそう言うがきっと間違いなく金持ちなんだろう。
そうでなければこんな豪華なキャンピングカーをあっさり貸してくれる訳がない。
それにしても皆食べまくっている。
流石に刺身大盛り皿5皿完了で料理長からストップ指令が出た。
「これでも一皿に1キロ以上盛り付けている。これ以上は健康を保証できない」
「ん、確かに食べ過ぎかもね」
間違いなく食べ過ぎだ。
8合炊いたご飯は既に空。
ご飯一合で330g、8合だから約2.6キロ。
それに刺身が最低5キロ以上。
合計7.6キロを5で割ると一人平均1.5キロちょっと。
俺はその半分も食べていないと思う。
ついでに味噌汁各1杯もそれに加わる。
というかお前らどんだけ食べているんだ。
守谷に至っては見た目にも腹が出ている。
大丈夫かお前ら。
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