第110話 対 TRICKSTERS戦(1)
朝食はなかなか美味しいバゲットサンド。
洗面その他も済ませて準備完了。
20時ちょうどにエアストリームを学校の元の場所に移動する。
なお外には新聞部員が張っていたようだが無視だ。
一応扉付近等は用心のためちょこっと空間を歪ませているけれど。
今夜は21時から準決勝2試合。
明日の早朝というか午前1時から決勝と3位決定戦が行われる。
そしてまずは本日の第1試合。
TRICKSTERS戦だ。
でもまあ、のんびり朝のティータイム。
「今日のお昼過ぎ、南米で地震があったみたいね」
どこから取り寄せたか不明だが英字新聞を読みながら松戸が言う。
「被害の全貌はまだ不明、でも相当に酷いみたい」
「ん、日本のニュースでもやっているよ。日本への津波等の影響は無い模様。詳細は大使館確認中って」
そんな会話後、準備をして第1試合参加の3人が試合会場へ直接移動。
取材陣除けにちょっとだけ複雑化した異空間を使って軽くウォームアップ。
ちょうどいい位の所で試合5分前だ。
そういう訳で異空間移動を使って指定の位置へ。
グラウンドの一塁側に引かれた試合開始線。
横一列で俺、委員長、綾瀬だ。
三塁側にもTRICKSTERSの先輩達が並んだ。
俺の前が稲田先輩、中央が友部先輩、綾瀬の前が笠間先輩。
今回はまずは目の前の相手と一対一で戦う予定だ。
甲高い電子音が試合開始を告げる。
俺と稲田先輩は空へ向かい、笠間先輩と綾瀬は異空間へ姿を消した。
稲田先輩は視線で友部先輩と委員長の方を指して合図する。
ちょっと向こうの様子を見ようという事らしい。
俺も気になるので稲田先輩の提案に乗ることにする。
「友部先輩、確かに私はあなたの幼馴染の柏秀美ではありません」
委員長の声がかすかに聞こえる。
「それでも私は柏秀美です。そしてこれから、今の私の全能力を使ってあなたと戦います」
「了承した。私も私の全能力を持って立ち向かう事を誓おう」
そして二人で頷き合い、次の瞬間二人とも猛速度で相手に駆け寄る。
稲田先輩がこっちを見て頷いた。
こっちも戦闘開始、という事だろう。
稲田先輩は急上昇し、俺はあえてこの場で留まる。
稲田先輩は高高度からの急下降による加速で空中戦を有利に進めるつもりだし、俺は異空間移動があるのであえて余分な慣性がつかない低速を使いたい。
それゆえの位置取りだ。
予想通り稲田先輩は急下降して速度を増して俺に襲い掛かる。
薙刀の刃が振り下ろされ俺の胴を突こうとする。
教科書通りの動きだが悪くない。
でも委員長と松戸による極悪特訓から見ればかなり甘い。
俺は左の剣で稲田先輩の長刀を横薙ぎし、そのまま右剣で稲田先輩の胴を狙う。
だが稲田先輩は俺が払った槍に力をいれることで空中で体勢を変えで俺の剣を回避、そのまま水平に逃れた。
速度差があるので俺は追わない。
今度は水平で距離を取ってにらみ合い。
しかしそれは稲田先輩にとっては悪手だ。
速度差が無ければ異空間移動で狙い打ちが出来る。
俺は異空間移動を使って稲田先輩の真上へ移動。
気付いた稲田先輩が繰り出した薙刀を右剣で弾く。
重力を味方につけている分、俺の攻撃の方が重い。
俺は重力を味方につけて更に加速。
稲田先輩は回避しようとするが速度が足りない。
背中側から横薙ぎに狙った胴が決まった。
規程ダメージ超過を俺の神眼が告げる。
無事俺は自分の役目を終えた。
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