第107話 委員長の昔話(1)
そういう訳でしばらく時間つぶし。
4人で砂浜に座ってのんびりと会話。
「次の試合は委員長が友部先輩、俺が笠間先輩、綾瀬が稲田先輩相手でいいんだよな」
「ん、それでお願い」
「確かに委員長は強いけれど、友部先輩も相当だろ。1オン1じゃなくて3対3で戦ってもいいんじゃないか」
「ん、そうなんだけれどね、多分友部先輩は私と1対1で戦いたがっている。だからあえて1対1でやろうと思ってね。将来の敵対策というんじゃなくて、私と
ん、ちょっと聞き捨てならない言葉を聞いたぞ。
「将来の敵対策って、何だ」
「ん、ごめん。ユーノから聞いた」
「ごめんね。佐貫に前に言った、この大会後に現れる敵についても皆には言ってあるの」
松戸がそう説明してくれる。
「そうか、俺は大会に夢中で忘れていたな」
「佐貫はそれでいい。悩んでも無駄なら考える必要は無い」
綾瀬にそんな事を言われるが、これは褒めているのかけなしているのか。
まあ綾瀬の事だから単なる現状肯定以上の意味は無いんだよな、きっと。
「だから戦力として鍛えるため、わざと相手の土俵で戦って勝つというスタイルをやっていた訳。佐貫には言っていなかったけれどね」
「何か色々巻き込んじゃって申し訳ないな」
そう。
俺目がけてふりかかってくる災難だった筈だ。
「今更ね、皆わかっていてここにいる。みらいも含めてね」
「みらいもなのか」
他はそれぞれ個人的に聞いている。
でもみらいは例外だと思っていた。
松戸は頷く。
「うん、実は夏の合宿よりも前に話をして、それでもいいならって協力を求めたの。笑顔であっさり同意してくれたわ。『敵として不足は無いのです』って言って」
うーん、みらいの奴。
よく考えているのか考えていないのかわからん。
でも、まあ。
「わかった。なら……でも、安全第一でな。
それで委員長の友部先輩との因縁って何なんだ」
「ん、まあ大した事じゃ無いけれどね。
中等部の大会は高等部みたいなチーム戦じゃなくて個人戦なんだ。それで2年前、中学部の大会の個人戦で私と友部先輩が勝ち残って決勝になった。
もともと同じ里の出身だしね。手の内もよくわかっている相手だった。
それで決勝の時、私は既にその時神眼と初歩の加速術式は使えたんだけれどね。素のままの自分の実力が知りたかったからあえて術式も能力も一切試合では使わなかった。
結果は相打ちで双方準優勝扱いになったんだけどね、友部先輩は私が術式を使わなかったことを手を抜いたみたいに感じたらしい。それで友部先輩は賞を辞退した。友部先輩が辞退したならと私も賞を辞退した。それが多分引っかかっているんだと思う」
「それだけではないですよ」
背後から声がした。
みらいだ。
「起き出したら誰もいなかったのです。仲間はずれはずるいのです」
いつものみらいと同じ感じだが、微妙に目が笑っていない。
「私だけ仲間はずれの罰という訳では無いですが、この際に全部話してしまった方が楽になれるです。私はそう思うです」
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