第106話 寝言は治った、でも次は……
詰めたい事は今になって色々出てくる。
そんな訳で約2時間位色々松戸や委員長、みらいに聞きまくった。
ようやく一通り納得できた時にはもう綾瀬が朝食を作り終わっていた。
なお本日のメニューはビーフステーキとビーフカツである。
敵に勝つという語呂合わせメニューにしたようだ。
えらくボリューミーなメニューだ。
でも俺だけでなく委員長松戸綾瀬みらいまでがぺろりと平らげた。
自分の事を棚に上げてと言われそうだがこいつら、本当によく食う。
綾瀬なんてどこに入っているんだ。
みらいはまあ、食べるとわかりやすく腹が膨れるのだが。
「今日は特に練習等は無しね。明日は場所が空いていれば20時にこの車を元の場所に戻すわよ。事前にトレーニング等するならその前にね」
俺はしない。
寝られるときには寝る派だ。
そんな訳で食器類を片付けたらラウンジとダイニングをベッドへと変形させる。
後部ベッド上に置いてあるシーツと掛け布団、まくらを持ってくれば準備完了だ。
カーテンを閉め、照明を消す。
既に外が明るくなり始めているので真っ暗にはならない。
「それじゃ、おやすみなさい」
「ん、おやすみなさい」
「おやすみです」
「おやすみなさい」
という訳で俺も寝に入る。
なお今回の大会中はみらいのブロードキャスト寝言はまだ無い。
あの夏の時だけだったのだろうか。
それとも何らかの理由で寝言の癖が治ったのだろうか。
理由はわからないがとにかく有り難い。
あれがあると寝不足間違い無しだから。
そして今日も無さそうだ。
俺は、そしておそらくみらい以外の全員が安堵しつつ眠りにつく。
◇◇◇
何か夢見が悪くて目が覚めた。
内容は起きてしまった今ではよく憶えていないけれど。
時計を見ると17時過ぎ。
少し早いがちょっと眠れそうもない。
そんな訳で仕方なく起きる。
まだ他の動きがなさそうなので、物音をたてないように静かに歩いて外へ。
島はそろそろ昼の終わり刻。
日差しがかなりオレンジ色に近くなっている。
砂浜に腰を下ろした時、エアストリームの扉が開いたのが見えた。
委員長、綾瀬、松戸の3人がふらふらと出てくる。
「ん、おはよ佐貫。佐貫もみらいの夢劇場で目が覚めたの」
委員長がそんな事を言ってくる。
「そう言えば何か夢見が悪くて起きたんだったな。内容は忘れたけれど」
「佐貫、ボコられていたものね、夢の中で」
松戸もそんな事を。
「何だその夢、何があったんだ」
綾瀬が頷いて口を開く。
「最強の万能指揮担当、みらいちゃん誕生の巻」
「要はみらい主人公のヒーロー物のような夢よ。佐貫、悪役にされて散々ボコられていたんだけれど憶えていない?女性の敵、能力を餌に女性を襲うエロ吸血鬼って」
「ん、エロ吸血鬼って所は事実だけれどね」
何ですと。
でも確かに言われてみればそんな夢を見たような……
「まあ寝られた分だけ前よりマシだけれどね」
「同意」
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