第103話 三郷先輩の実力(1)
食事をしてちょっとまったりして。
そして本日の第4試合の観戦だ。
「スイッチオンですよ」
みらいがそんな事を言うとともに音声と画像が入る。
「さて、まもなく2回戦最後、第4試合はお散歩クラブ対小吉クラブです。
お散歩クラブの方は 内原選手、流山選手、
いずれも異空間を使った高機動戦闘が得意な選手です。更に内原選手は小隊指揮能力と飛行能力も持っています」
「バランス的には今大会最強選手の1人でしょうね、内原選手は」
「さて対する小吉クラブは三郷選手、小林選手、安食選手、1回戦と同じですね。小林選手、安食選手ともに多様な術を持っていますが異空間及び飛行能力はありません。そして三郷選手は……1回戦と違う装備ですね」
「それについてはデータが来ております。高機動戦闘対応指揮ポット。狂科学研究会の後台君による最新装備ですね。義足から飛行ポットに変形し、飛行能力の他に異空間移動能力もあるそうです。今は義足モードで稼働中のようです」
「了解しました。さて青井さん。大変難しいと思うのですがこの試合、どうなると予想されますか」
「そうですね。普通に考えればお散歩クラブの勝ちは揺るがない筈なんです。全ての能力でお散歩クラブ側が圧倒している。それこそ速度でも攻撃力でも異空間能力でも。異空間を使える以上1回戦のような視界を防ぐ戦術は使えない。
それでも三郷選手が何かやるんじゃないかという不安というか思いは消えません。
内原選手も小隊指揮能力を持っていて人数的には同等の指揮を出来るのですが」
「この試合で三郷先輩の奥の手を視る事が出来るかもね」
松戸がそんな事を言う。
「ジャミングなのですか」
「確かにジャミングも使うかもしれないわね。でも私や秀美が予想しているのはそっちじゃないの。ある意味もっと強力な技よ」
「ジャミング以外の特殊な術は特に持っていない筈なのです」
「ん、特殊な術じゃ無いな。単なる指揮能力の延長線だよ」
今度は委員長が口を開く。
「それってどんな能力だ?」
「見ればきっとわかるわ。そろそろはじまるわよ」
聞き慣れた電子音。
そしてお散歩クラブの3人は試合会場から姿を消した。
ただ、みらいの感覚を通して3人が何処にいるかがわかる。
流山先輩が一直線に三郷先輩に近づき、そっと当てるようにナイフを繰り出した。
次の瞬間ダメージメーターが2人分動く。
1人は三郷先輩だ。
ダメージメーター3分の1程度。
そしてもう1人は流山先輩。
ダメージメーターが規定値を超えている。
流山先輩が三郷先輩を攻撃した直後。
三郷先輩が攻撃を避けるように動き、代わりに小林先輩の槍が動いたのだ。
三郷先輩を狙ったナイフと同じ場所を逆方向から。
「いきなり試合が動きました。流山選手、終了です」
「これは異空間からの攻撃にあわせて通常空間から逆方向に攻撃を仕掛けたんですね。これなら異空間を移動できない小林選手でも槍が届く」
「しかし、そんな攻撃は通常は出来ませんよね。とすると、これも……」
「ええ、三郷選手の指揮能力だと思われます。相手の移動経路と攻撃意図を把握して、あらかじめ小林選手を最適な位置に配置し、攻撃指示を送ったのでしょう」
内原先輩と木下先輩は少し離れた空間へ。
色々位置取りをしては離れるという行動を繰り返している。
一方、小吉クラブ側もそれにあわせて位置を少しずつ動かしている。
どうらやお互い攻撃の読み合いをしているようだ。
「さっきのが三郷先輩の奥の手か?」
「ん、その一部だね。ただもう少し凄い事が出来るんじゃ無いかと思っている」
どういう事だろう。
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