第96話 お散歩クラブは順当勝ち
「お散歩クラブの方は選手は2人です。これは、第一試合の混合術式研究会に対抗してでしょうか。出場はは内原選手と流山選手。
対する魔法研究会は3名。広野選手、木戸選手、竜田選手です。いずれも攻撃魔法には定評がある選手ですが武闘会のルールにどこまで対応できるか」
試合開始の電子音が鳴る。
いきなり魔法研究会の中心の選手からお散歩研の2名に向けて強風が吹き始める。
だが2人は全くその強風を気にしていないように見える。
よく見ると少し位相をずらして立っている、
あれなら風の影響を受けないだろう。
次にお散歩研の2名を黒い影のような球体が取り囲む。その球体は2名を閉じ込めるように収縮したが、、2人は全く影響が無いように立っている。
「魔法研究会の攻撃、お散歩クラブには届いていない」
「使用できる異空間軸の差ですね。内原選手の異空間能力は2年でもトップクラスですから」
今度は上から巨大な天井が降ってきたが、やはり2人には影響なし。
今度は2人のうちの1人が短剣を構え、動き始めた。
黒い長袖シャツに黒のスパッツ姿、ダメージカウンタまで黒色の全身黒ずくめ。
「さあ、攻撃魔法が一通り出たところで内原選手が動きます」
そう、この黒ずくめは内原先輩だ。
この前指揮所で見たので知っている。
彼女は緩やかな弧を描いた軌道で魔法研の3人に迫る。
スタッフでの攻撃や防御を無視して一撃ずつ攻撃を決め、元の場所へと自然に舞い戻る。
「ん、見事だね。十数次元の軸を使い分けて最小限の動きで避けて攻撃している」
試合終了の電子音が鳴り響いた。
「終わってみればお散歩クラブの圧勝です。さて、これを青井さんはどう見ますか」
「内原選手の圧倒的な異空間能力、これをを見せつけるもの以外のなにものでもありませんでした。でも2人で出たのはあるチームに対するメッセージだと思われます」
「2人で出たというと、やはり第一試合の混合術式研究会ですか」
「そうですね。それに合わせて指揮担当と近接戦担当2名で出てきたのだと思われます。それでわざと魔法研究会の攻撃も全て出させてみた」
「しかしお散歩クラブの次の相手は小吉クラブですよね。青井さんはそれをどう見ますか」
「戦力的にはお散歩クラブの圧勝です。不安要因は三郷選手の大隊指揮能力だけ。ただこの人数なら内原選手の小隊指揮能力でも十分な筈です。何か特異な能力なり作戦なりが無い限り、お散歩クラブの有利は間違いないのですけれど……」
みらいが言った事が確かなら、三郷先輩はまだジャミング能力を隠し持っている。
それに小動物系妖怪はその特性故に特殊能力の宝庫でもある。
ひとつひとつの能力は単機能で大したものではない。
でも複合して使えば1回戦の通りだ。
それにどう立ち向かうのか。
「さて、そろそろ第2回戦の準備が始まる模様です。選手も到着している模様です」
あ、そうだ。
次は俺達の、松戸と綾瀬の試合だった。
「さて、試合を前に青井さんが選手席の方へ向かったようです。青井さん?」
「はい、こちら青井です。
部室消失事件の件もありますので混合術式研究会の選手に話を聞こうと思いましたが近づけません。近い場所ではありますがかなり複雑な軸上にいる模様です」
「青井さんも元お散歩クラブですよね。それでも無理ですか」
「これでも10次元以上は把握出来る自信があったのですがそれ以上ですね。正直これは高浜君あたりでないと近づけないと思われます。それだけのレベルの異空間操作を1年生で出来るという事自体が驚きですが。
なお混合術式研究会は綾瀬選手と松戸選手、メンバーは替わりましたが今回も2名で戦う模様です。
また昨日の部室消失事件について色々情報が入っておりますので、試合前のこの時間にお伝えして宜しいでしょうか」
おいおい、何だって。
俺は思わず耳を澄ませる。
意味は全くないのだけれど。
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