第77話 御飯はとっても美味しいけれど
部屋掃除、風呂等全て終わらせた。
パソコンで適当にWeb見ていると、誰かの気配がした。
予想通り綾瀬だ。
「夕食出来た。持って来ていい」
「いいけど。何なら俺が行こうか」
「ここにいてくれていい」
綾瀬がそう言い終わると同時に、何も無かったこたつ台の上に料理の皿が並ぶ。
大皿には刺身最低でも5種類以上が大量に並び、他に魚の身が入ったサラダ仕立てがもう1皿ある。
更に揚げ物が1人あたり3品あり、お吸い物と御飯がついている。
何だこの豪華なメニューは。
「あの島で魚を調達してもらった。5種類確保してあった」
調達したのは委員長や松戸や守谷という事だろう。
魚を調達してもらう代わりに野菜や夕食用のパンチーズ等を買ってきた。
そういう事らしい。
ふたりでちゃぶ台を囲んで一緒にいただきますを言って、食べ始める。
「何か久しぶりだな。こうやって綾瀬と食べるの」
前は時々綾瀬が食事を作りに来てくれていた。
でも最近は引っ越しとか色々あったからこんな機会が無かった。
「同意」
何か綾瀬もちょっとご機嫌な感じだ。
そしてやっぱり綾瀬の料理は美味しい。
刺身類を別としても、サラダ仕立ての方もかかっているソースが絶妙だし、アジフライらしきフライもサクサク。
お吸い物もしっかり魚の出汁が出ているのに濁っていない。
「やっぱり美味しいな」
思わずそう口にしてしまう位に。
「なら嬉しい」
「だってこのサラダのドレッシング、自作だろ。それにこの刺身醤油も多分細工してあるし」
「刺身醤油は前に作り方見たからやってみた」
「やっぱり」
普通の醤油と比べて味がまろやかなのだ。
それでいて魚に負けず、かつ魚の旨みを殺さない。
「料理好きだから色々やってみたくなる。ただ食べる人いないから今はあんまり機会ない」
「でもやっぱり時に食べたくなるな、これは」
前にも似たようなことを言って危険な状態になったのについまた言ってしまう。
美味い料理の魔力という奴だ、きっと。
「佐貫に料理食べてもらうのは私も楽しい。美味しそうに食べてくれる」
「だって本当に美味しいだろ。今日は特別豪華だけど、そうでない料理だって」
それこそただの煮物やカレーでさえも綾瀬が作るととても美味しいのだ。
それは寮が移転するまで何回も作ってもらった俺が保証してもいい。
「もし綾瀬が良ければパン屋の旅の後一緒に御飯食べないか」
「了解。ちょうどいい具材の在庫もある」
何やかんや色々言いながら2人で豪華刺身定食を食べ尽す。
「これから片付けてお風呂入ってくるからちょっと待っていて欲しい」
あ、やっぱりこの後もあるんですか。
まあ今日が綾瀬の番だしな。
しかし舞台が自分の部屋だとちょっと別の意味で緊張する。
でもまあ一応。
「わかった。待っている」
と返事はしておく。
綾瀬は微笑んで、次の瞬間食べ終わった皿等一式とともに姿を消した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます