第74話 とっても疲れた昼下がり
おいおい勘弁して下さい。
もう頭と感情がいっぱいいっぱいです。
「俺はそれほどの人間じゃ無いぞ」
委員長は首を横に振る。
そのせいでベッドが少し揺れる。
「ん、逆だよ。佐貫は色々能力が増えてもきっとそのまま。相手が私達であろうと他の女の子だろうときっとそのまま。それでいいんだしそれがいいんだよ。
だからこれからも、そんな感じで普通に接して欲しいな。でも……」
あ、委員長が微妙に何か言い淀んだ。
しかも顔色が更に赤くなっている。
「ん、でも、今だけはちょっと私を見てくれると嬉しいな」
うわああっ。
委員長が可愛い。
いかんいかん、でも本当に可愛い。
委員長が可愛いついでにちょっと前に思った事を思い出す。
うん、このチャンスに挑戦だ。
「委員長、眼鏡取ってもらっていい」
委員長は頷く。
「ん、佐貫にならいいよ。あと今だけは秀美と呼んでくれると嬉しいな」
委員長、いや秀美は眼鏡を外してベッド横に置く。
「やっぱり伊達眼鏡だったんだ」
何となくそんな気はしていたけれども。
秀美は頷く。
「ん、私の能力のせいでね。私と目を合わせると思っていることを読み取られるって噂が流れた時があったの。それでみんな目を合わせてくれなくなって。
なら目をあわせなくても顔を見る基準みたいなのがあれば相手が楽かなって」
そう言って秀美は俺の方を見る。
「佐貫は平気?そんな私で」
「何を今更。それに前も言ったよな。見られて傷つくより見えて傷つく方が苦しいだろうって」
「ん、だから佐貫とだと安心できる」
秀美はそう言って、ちょっと体をくっつけてくる。
「さて、そろそろお願い。今の私を吸って感じて欲しいけれど、いいかな」
間近に感じる秀美の体温。
感じる女の子の香り。
やばい、俺も秀美が欲しくてたまらない。
委員長は目を閉じて、俺が吸いやすいように首を傾ける。
眼鏡を取って美人度が上がった秀美にちょっとくらくらしながら。
俺は首筋に口を近づける……
◇◇◇
何となく意識が戻る。
いつもと違う感覚。
そうだ、ここはエアストリームのベッドだった。
そして更にいつもと違う感触。
何か温かい柔らかいものが俺の腕にくっついている。
まさか。
薄目で見てみると間違いない。
委員長だ。
委員長が俺の左腕を抱き寄せて寝ている。
左腕に感じる温かさと柔らかい感触。
思い切り胸の感触だこれは。
しかも委員長、俺の左腕を左腕で掴んでうつ伏せで寝ていやがる。
手を抜こうとしても動かない。
下手に引っ張れば委員長ごと動きそうだ。
これでは手を外せない。
俺は悶々としつつも必死に耐える。
その我慢大会は体感時間で1時間。
委員長が気づいて慌てて腕をそっと戻すまで続くのだった……
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