第72話 今日の御相手はみらいちゃん

 美味しいご飯を食べて歯磨きして。

 いよいよ逃げられない時間がやってきた。


「さて、本日の御相手はみらいちゃんです」

「初めてなので優しくお願いするです」


 おい、余計かつ余分な妄想を生むような台詞はやめてくれ。


「ん、じゃあ、お邪魔虫はこの辺で……」

 こら委員長!

 お前もそのわざとらしい言い方やめてくれ。


 という訳で車中はみらいと2人きりになる。

 思わず緊張。

「それではここからお姫様抱っこでベッドまでお願いするです」

 あ、緊張が解けた。


「何だそりゃ」

「昨日松戸さんはそうして貰ったと言っていたです」

 あ、あれはベッドに腰掛けている姿勢から横にする為だけにしただけで……

 というかそんな事まで松戸は話しているのか。

 女子連中どこまで話し合っているんだ。

 これは下手な事は出来ないぞ。


「という訳で、抱っこなのです」

 はいはい。

 仕方ないからみらいをさっと横抱きに。

 うん、明らかにこいつは軽いな。

 見かけ通り。


 ただ回した手が思い切りお尻にかかってしまったのがちょっと気になる。

 何か柔らかくて温かいし。

 いや、それを気にしたら負けだ。

 まあ元々勝ち目は無いけれどさ。


 広くは無い車内をそのまま移動して後部のダブルベッドへ。

 ベッドの真ん中にゆっくり下ろす。

 そのまま離れようとすると。


「ちょっと待つです」

 そう言っていきなり首に腕を巻き付けられた。

 そしてそのまま顔を近づけてきて。

 唇と唇が触れあう。


 えっ、みらいからいきなり。

 みらいは腕を外してちょっと離れて、そして少し恥ずかしそうに笑う。

「へへへ、初めてのキスなのです。初めては自分からやると昔から決めていたです」

 おいおいおい。

 こいつも危険な行動を!

 俺が虎男の勝田君だったらもう性的に襲いかかってしまうところじゃないか。


 なんとか理性を振り絞って一度離れて。

 そして俺もみらいの脇に横になる。

 前に上から攻めて松戸の胸でダメージを受けたからな。

 俺も少しは学習しているんだ。


 さあ首筋を襲おうと思ったところでまたみらいが小さな声で言う。

「初めてなので、痛くしないで下さいです」

 うわああっ。

 こいつ、絶対狙って言っているだろう。

 もし俺が虎男勝田君だったら……(略)で夜までやっちゃうじゃないか。

 もう我慢できない。


 そんな訳で一気に首筋へ。

「うっ、うーん」

『聞いてはいたけれど、なかなかこれは気持ちいいのです』

 今度は念話で攻撃してきた。

『どうせならここでぎゅっと抱きしめて欲しいです』

 という訳で仰せのままに。


 そしてまあ、例によって与えられて与えて気を失って。

 目覚めた時が俺1人で、エアストリームが学校に戻っていたのも前と同じ。

 時計は昼の3時で、今日は割と余裕がある。

 そして違っていたのはベッドに残されたメモ用紙。


「ごちそうさまでした」


 うわああっ、みらいの癖に何か妙に色っぽいぞ。

 俺はダメージを受けつつメモを持って、自分の荷物も持って寮の自室へと瞬間移動するにげかえる

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