第70話 そして松戸とベッドイン

「綺麗、って何か予想外の反応なんだけど」

 松戸がそう言って急にもじもじする。

 あ、今の俺の心の声も聞かれてしまったか。


 そう思ってふと俺は我に返る。

 そうなると今のシチュエーションの異常さに気づいてしまう訳で……


「頼む、せめて服は着てくれ」

 俺は目を逸らす。

「うん、そうする」

 松戸も素直にそれに従う。

 しかし服というのは脱ぐ時だけでなく着る時の音もエロい。

 初めて知った。


 そして松戸は俺の横に座る。

 白衣以外はちゃんと着ている。

 よしよし取り敢えず一安心だ。


「それでどうする。私の場合は佐貫に全部任せるよ」

「ならば、こうする」

 俺の方針はもう決めている。

 あの傷だらけの全身を見て決めたのだ。


 横から松戸をほいっとお姫様抱っこで抱える。

 思った以上に体重は軽い。

 それをベッドの中央へと横たえる。


「え、何?」

 思った以上に可愛い反応。

 いかん、これは危険だ。

 なら俺が危ない反応に陥る前に。


 上から松戸に覆い被さり、首筋に口を近づける。

 思いっきり胸の感触を感じると同時にさっき見てしまったものを思い出した。

 でもここまでくればもう大丈夫。


 俺の中に松戸が流れ込んできた。

 それと同時に気づく。

 松戸の体力、思った以上に少ない。

 これでは吸血中にあっさりあの世行き。

 なのである程度余裕を持って途中で中断。

 文句を言いたそうな顔をした松戸の唇を俺の口で塞ぐ。


 さて、俺の力で松戸をどこまで治せるか。

 委員長の時と違い俺の体力は十分だ。

 でも委員長の時以上に松戸は壊れている。

 というかよく生きているなこの状態で。


 なので眷属化しないよう体力と治療中心にエネルギー注入。

 3人目だからかそんな器用な事も出来るようだ。


 うーん、やっぱり体力が限界に近づいてきたぞ。

 意識を保つのも厳しくなってきた。

 でももう少しで松戸の身体が完全に治る。

 だからもう少し、あと少しだけ……


 ◇◇◇


 起きると既に誰もいない。

 ちょっとだけカーテンをめくる。

 エアストリームはもう学校へと戻ってきていた。

 そして布団には確かに俺以外の誰かがいた香り。


 う、う、これはたまらん。

 しらふに戻るととっても危険だ。

 胸の感触とか、見てしまったもの全部を思い出してしまう。

 早い話がムラムラする。


 ふと気づいて横に置いてあるスマホを見る。

 時間は午後6時。

 学校開始まであと2時間。


 まずい、取り合えず部屋に戻ろう!

 俺は瞬間移動能力を使い、寮の自室へと跳んだ。

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