第66話 特訓方針はスパルタ式!
次の授業前、つまりその日の夜一番に俺と委員長は書類を牛久先生に提出した。
なお研究会の名称は『混合術式研究会』にした。
何せ各自の能力の種類が違いすぎる。
まずは狸と精霊と吸血鬼だ。
松戸に至っては古来の魔術とか方術とか仙術とかもう出鱈目に使用可能。
みらいの指揮能力等は由来すら不明だ。
研究会としての統一性がまるで無い。
かと言って横文字系にするとみらいが妙な行動を始めそうだ。
なのでみらい以外の4人で無難で目立たず実態不明な名前にしたのである。
妥協の産物だがやむを得ない。
何せ考慮の時間があの放課後しか無かったのだ。
さて。
本日も夜が過ぎ早朝、放課後の時間になった。
本日は大先輩2人は不在。
そろそろ受験勉強が本番なので、真面目に勉強をしているとの事。
こんなに遅く勉強を初めて大丈夫かと思うのだが、何せ片方は慧眼通持ち。
神立先輩の方も志望校は模試では余裕のA判定。
心配はあまりいらないらしい。
「さて、本日の議題は特訓についてよ」
今日は松戸が口火を切る。
「武闘大会に優勝する為にはまだまだ力が足りない。正直通用するのは秀美くらいね。佐貫もまだまだだし、私も複数相手だと今のままでは無理だわ。
そしてみらい、今のままでは自分の身を守るだけでも不安だわ。武闘大会までもう1月も無いのよ。だから全員、猛特訓してでも力を上げる必要がある」
「ん、それで何か方法はあるの?」
「一応ね」
松戸は頷く。
「ただ期間が無いからスパルタになるけれど」
「やむを得ないと認める」
あっさり綾瀬が認めてしまう。
おい、いいのか。
例えば委員長のスパルタは本気で死にかけるぞいやマジで。
「という訳でちょっと用意があるのでいったん解散。1時間後、午前4時半に運動できる格好で、着替えとタオル持参でここに再集合、いい?」
「ん、わかった」
「了解」
「はいです」
松戸の言葉に3人はあっさり同意する。
おい、本当にいいのか。
俺は凄く不安だ。
「佐貫もわかったよね」
返事を渋っていると松戸に念を押される。
しかも委員長の右手がモーションに入りかけている。
「わかったわかった。1時間後な」
仕方なく俺も了解。
したくは無かったけれどさ、まあしょうがない。
◇◇◇
という訳で小鳥もチュンチュン鳴き始める朝の4時半。
どうも俺が最後だったらしい。
他はもう全員揃っている。
「それでは強化合宿1日目を開始します!」
松戸が高らかに宣言。
ちなみに混合術式研究会の会長は俺で副会長は委員長だ。
でもそんな事は部内では一切関係ない。
そしてこの特訓の音頭取りは松戸らしい。
「それでは特訓会場へ移動!」
えっ?
エアストリームの車窓から景色が消える。
いきなり瞬間移動かい!
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