第6章 みんなで強化しよう!

第63話 武闘大会とは何だろう

 さて、めでたく豪華な部室が確保されてしまったところで例会だ。

 なお例会とは実質的にお茶会の事である。

 本日は神立先輩作成のお稲荷と太巻きがメイン。

 おやつが綾瀬作成のおはぎだ。


 みらいが人の分までおはぎを食べようとする。

 すかさず松戸がチョップで制止。

 今のは委員長チョップよりは弱いがそれはみらい用に加減したため。

 松戸チョップ本番バージョンは委員長チョップより強烈だ。

 一度喰らったので良く知っている。


「さて、そろそろ10月なので校内武闘会の季節なのです」

 守谷がそんな事を言い出す。


「ん、そう言えばそろそろエントリーの時期ね」

「1日からエントリー開始なのです。部費を稼いで名前を売るチャンスなのです」


 だが俺は校内武闘会というものを知らない。

 戦う会だろうという事はわかるのだが。

 ちなみに俺以外に綾瀬、松戸も何の話かなって顔をしている。


「ん、そうか。私とみらい以外はまだ転入して1年経っていないもんね」

 委員長は気づいたようだ。


「校内武闘会ってのは各研究会対抗の模擬戦の大会だよ。各研究会3人のチームを作ってトーナメント方式で対抗戦をやるの。

 高校の部は例年10月末開催。去年の優勝がうち、今のTRICKSTERSで、準優勝が高浜先輩率いるお散歩クラブですね」

 神立先輩が説明してくれる。


「順位で来年の研究会の運営費の上下が決まるのです。それに来年入校の新入生候補にもアピールできるのです」

 委員長がちょっと考える。


「ん、でも異空間使える人が多いから旅行費も使わないし、武術じゃないから道具も使わないし、特に運営費の必要は無いかな」


「でもお金があればやれることは増えるわよ。例えば魔術の媒介で使う銀製品は結構高いし、他にもお金で買える術具は多いかな」

 唯一西洋魔術の術式も使う松戸は賛成派のようだ。


「新入生を入れて人数増やすのは反対」

 綾瀬はここの気楽さを維持したいとの方針らしい。


「ん、佐貫はどう思う」

「もともとここで気楽に好き勝手をやる目的でこの場所を借りているんだし、色々公にするのは反対かな」

 人数が増えてこれ以上面倒なことになって欲しくない。

 それが俺の本音だ。

 ここは成り行きで出来た単なるあぶれものの集会場。

 それで十分だしそれ以上の必要もない。


 だいたいあの夏合宿が公になったら大問題だ。

 旅券法違反等の他に風紀上の問題も突っ込まれそう。

 間違えても水着解放なんて絶対ばれたら不味い。


「そうだね。ここの内部的にはそれほどメリットはないだろうね」

 柿岡先輩もそう言ってくれる。

「でもそうもいかないかもしれないわね」

 神立先輩が怖い事を言う。


「そうだね。参加せざるを得ないって事態になるかもしれないよ」

 更に怖い事を柿岡先輩が言った直後だ。


 トン、トン

 エアストリームの扉がノックされる。


「入っています」

 ついお約束でそう言ってしまった俺に委員長チョップが炸裂。

 座っているので避けられない。

 ぐえっ。

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