第62話 移動基地設置計画(3)
その結果。
引っ越し期間2週間の後の9月25日火曜日。
月曜日は祝日だったから引っ越し終了後初めての授業の日だ。
俺達は授業終了後、ある場所へ急ぐ。
目的の場所は場所は新しい学校の敷地の一角、教室棟の横の空きスペース。
そこに銀色に輝くアルミ製超高級キャンピングカーが無事設置された。
ちゃんとタイヤが傷まないようにジャッキアップまでしてある。
早速エアストリームに入ろうとすると既に先客がいた。
おなじみの紅茶のいい香りが俺達を出迎える。
予想通りの2人がまったりと紅茶タイムを満喫していた。
「ん、お兄ひどい。私達の活動場所なのに」
委員長の抗議にも柿岡先輩は悪びれた様子を見せない。
「まあいいじゃない。専用部室も無くなったことだしさ」
夏休みとともに2人はTRICKSTERSを引退。
そして学校移転後のTRICKSTERS部室には別室スペースは無い。
「ごめんねひーちゃん。これ一服したら消えるから」
「神立先輩はいいんです。いて下さい」
柿岡先輩は憮然とした表情になる。
「秀美、僕に酷くないかい」
「ん、お兄は受験勉強もあるでしょ。さっさと予備校なり自分の部屋に帰るなりして勉強してください!」
久しぶりの兄妹喧嘩を横目に見つつ、俺達は紅茶を楽しむ事にする。
都合7人でもダイニング側とラウンジ側を両方使えば問題無い。。
「それくらいにしたら。ここまでこの
松戸の言葉通りだ。
エアストリームは電気だけでなく上水道下水道ともに接続済みで、台所もシャワーもトイレも使用可能となっている。
強いて言えば温水やガスを利用するとプロパンガスを消費する位だ。
これだけは他に接続できなかったのだが補充の必要性なんて当分先だろう。
しかもこれらライフラインを怪しげな空間経由で接続したまま世界中に移動可能。
その気になれば世界の果ての砂漠を前にエアコンガンガン状態で水使い放題のキャンプも可能だ。
何だこの環境。
快適すぎる。
「で、この当研究会の名前とか活動とかは決まったの?」
「まだですね。活動もまだ予定は冬合宿くらいしか」
「えーっと、私は能力解放同盟を推したんですが皆に却下されたです」
それはそうだ。
そんな公安調査庁の白書に載っていそうな名前は却下。
みらい以外全員の総意だ。
「折角のぼり旗作ってヘルメットとマスクして神聖騎士団の前でデモしようと思ったですが、残念です」
この壊滅的なセンスは何なんだろう。
「なら横文字系の名前にしてサウンドデモやりながら神聖騎士団前でデモを……」
「デモから離れろ」
みらいの発想にはついていけない。
そんな感じで早朝のどやかな時間がまったり過ぎていく。
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