第57話 君と食べよう食べられよう!(2)

 負けじとおれもお代わり、2杯目突入。

 ちなみに2杯のお代わりは既定路線らしい。

 だからちゃんとハムエッグもついてくる。


 2杯目をゆっくり食べるとほぼいい感じに腹いっぱい。

 ちなみに綾瀬は2杯プラス半分食べている。

 3合炊き炊飯器で目いっぱい炊いた飯が完全消滅状態だ。


「ごちそうさま、今日も凄く美味しかった」

 本当の事なので礼は言っておく。

「そう言ってくれると作り甲斐がある。独りで食べるより美味しい」

 そう言ってくれるとちょっとこっちも嬉しい。


 ちなみに片付けも基本綾瀬が一人でやる。

 前に手伝おうとしたら止められた。

 自分一人の方が早いし楽との事。

 少し申し訳ないが、まあしょうがない。


「片付ける間先にシャワー浴びてて」

 聞きようによっては危険な台詞。

 実態は単に効率を考えてだ。

 後で私が入るから先に入って邪魔をするなというだけの。

 なので素直に従い着替えを持って洗面所へ。


 ◇◇◇


 着替えた俺と交代に綾瀬が洗面所へ。

 問題はここからだ。

 綾瀬は髪が乾くまでの間、あられもない姿でこの部屋をうろうろする。

  ○ 髪をドライヤーで乾かすのは髪が痛むので嫌

  ○ タオルでまとめると変な癖がつくので嫌

  ○ 濡れたまま服を着ると服が濡れるのが嫌

との事なのだそうだ。


 つまり綾瀬が風呂から出た後、髪がある程度乾いて服を着て自宅へ消えるまでの間が俺の生殺し時間タイム

 または犯罪者の気分とともに己の内なる衝動に震える時間タイムだ。

 同級生の虎男勝田君あたりならこの話をすれば凄くうらやましがるとはおもうが、実際は全然うらやましいものじゃない。


 でも料理のお礼もあるし強くは言えない。

 前にそれとなく言ったら『合宿で全部見られているし問題ない』と断言された。

 つまりは俺に燃え尽きろということですか。

 まあ綾瀬にそんな気はないだろうけれど。


  ◇◇◇


 テレビもつけた。

 漫画も準備。

 ノートパソコンもブラウザ開いていつでも閲覧OKだ。

 なおノートパソコンのカメラは物理的に塞いだ状態。

 これはまあ念の為って奴だ。


 すべての準備が整った!

 と思ったらシャワー音が止まった。

 危険時間は近い。


 まず俺はパソコンに向かう。

 とりあえず某有名ポータルサイトのニュース画面を開いて今日のニュースを確認。

 神聖騎士団西欧支部壊滅なんてマイナーすぎる記事は何処にも載っていない。


 洗面所の扉ががらりと開いた。

 髪をふきふきしながら対象が出てくる。

「今日もシャワーありがと」

「いえいえ」

 生返事。

 意識を向こうに持っていかれないように。


 綾瀬てきは部屋の端の大鏡に向かって移動。

 髪をブラッシングしながら乾かしている様子だ。

 俺はネットに形だけでも集中する。

 今日の株価は3円安か、うむうむ。

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