第48話 朝眠いのは体質のせいじゃない
その後はもう混沌としか言いようがない。
綾瀬が、
「私の水着もっと見たいの?」
と迫って来たりとか。
松戸が妙なセクシーポーズをつけて委員長に駆逐されたりとか。
挙句の果てに委員長対松戸の空間跳躍対飛行能力の鬼ごっこ。
結局みらいの寝言など問題にならないほどに疲れ切ってやっと就寝。
当然次の日の朝は眠い訳だが、一人だけ元気な娘に全員たたき起こされた。
『みっなさ~ん、楽しい朝ですよ~♪』
ブロードキャスト生念話大音量朝のビーチの画像付きだ。
ちなみにその後にラジオ体操の歌の斉唱も入る。
思った以上に守谷の能力は強力で凶悪だ。
大体寝不足で眠いのは誰のせいだ。
皆そう思っただろうがとっても楽しそうな守谷の笑顔に誰も文句を言えない。
4人ゾンビのように起きて仮設ベッドをテーブルモードに変形、朝御飯にする。
朝食はシーチキンマヨネーズとその辺の葉っぱによるサンドイッチ。
あとは冷たいアイスコーヒー。
冷たいアイスコーヒーが体に染み渡る。
そしてシーチキンサンド。
シーチキンは缶詰ではなく昨日のアジとサラダオイル等で作ったまがい物。
まがい物なのだが本物以上に美味しい。
フランスパン1本と食パン1斤分のサンドイッチがあっさりと無くなる。
というかこの連中食べる量が多いし食べるのも早い。
既に俺は生存競争一人負けしている状況だ。
「今日はどうする予定」
「私はもう少ししたら美久と買い出しかな。思ったより野菜が少ないし美久の要望もあるし」
「食材が美味しいから美味しいパンが欲しい。あといいオリーブオイルも」
何処へ買い出しに行くかはあえて聞かない。
こいつら世界中移動自由だし松戸は5か国語しゃべれるし。
「ん、じゃあ私は買い物組が帰るまでゆっくり休憩。この島気持ちいいし」
つまりまだ眠いという事だ。
俺も眠い。
「駄目よそんなの、私つまんないしもったいない」
俺と委員長の希望はあっさりと元気な一人に却下された。
「でも魚も在庫充分だし船も昨日やったし何か案ある?」
密かに俺も休みたいぞという希望を入れて聞いてみた。
「南の島に来て海以外にやることと言ったら決まっているのです」
俺と委員長は顔を見合わせる。
わからない。
「探検です、たんけん!」
目をキラキラさせるとはこういう表情の事なんだろう。
俺は守谷の顔を見てそんな事を思った。
◇◇◇
一度島の全景を見るために上空100メートルくらいまで上昇。
ちなみに俺は当然空を飛べる。
委員長もこの前俺の能力を得たおかげで飛べるようになった。
ただもちろん守谷は飛べない。
だから俺の背に馬乗りになっている。
密着している辺りの熱さが若干どころか非常に気になるが気にしてはいけない。
気にすると更に面倒なことになりそうだから。
「ん、思ったより大きな島だね」
委員長が下の島を見ながら言う。
サンゴ礁の上に乗っかった小さな島だと思っていたが違うようだ。
島全体は長い方の端から端まで多分500メートルくらい。
でも川もあるし低いけれども山っぽいものもある。
川は俺達の拠点の浜からうねうねと蛇行。
森の中を抜け山の崖下の小さな池まで続いている。
山といってもせいぜい高さは20メートル。
植生から委員長が判断するに、
「山の上でも高潮で台風みたいなの来たら潮をかぶるみたいね。樹種が塩害に強そうなのばかりだし」
という感じだ。
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