第43話 その水着は反則です!
「佐貫、着替え終わったよ」
と松戸の声がするので振り向いてみる。
見事なまでに4者4様、違うタイプだ。
綾瀬の水色系花柄ワンピース型は何かいかにも、って感じで可愛らしい。
守谷は白に小さな花柄沢山のふりふり付き2ピース。
いかにも高校生の正統派美少女系。
委員長は競泳用っぽい水着デザイン。
普段の着衣時より女性らしい凹凸をくっきり感じさせている。
実はこのボリューム感はこの前抱きしめた際に確認済み。
問題は松戸。
黒のビキニに普段の白衣姿からは想像つかない我儘ボディ。
もともと大柄なこともあって迫力満点。
更にややえぐい角度の下パーツが長い脚を強調している。
反則だろそれ。
「お、見とれてる見とれてる。誰が好みかな、佐貫は」
「今までの実績から委員長と判断」
「ん、どうかな、みらいちゃんの正統派美少女ぶりに見惚れているかもよ」
「私はユーノさんの体形がうらやましいです!」
はいはい。
まあみんな確かに人が多いビーチなら目を引く程には綺麗だし可愛いけど。
なにせ普段を知っているから俺も無茶はしない。
そう思ってちょっと目をそらした俺を見て松戸がにいっ、って笑う。
これは肉食系の笑みだ。
「完全なプライベートビーチだしさ。水着なしの解放感に浸ってみるのもいいんじゃないかと思ったんだけどね」
「危険人物が一人いるからやめた」
はいはい危険人物扱いはともかくそれが正解です。
だから危険な発想は松戸さんやめてください。
というか危険人物は俺じゃなくて松戸だろ常考。
「だから水着開放計画は後日持越しで」
持ち越さないでいいです。
「ん、佐貫、最初の
一度車の中に引っ込んだ委員長が何かを持って戻ってくる。
「お昼は新鮮な海鮮を食べたいとの意見があったんだ。成果を期待している」
委員長はリール付き釣り竿とたも網、仕掛け色々入りボックスを俺に渡す。
つまり昼飯のおかずを調達しろという事らしい。
実際クラスメイトの水着批評をして変な気になるよりはよっぽどましだ。
なので喜んで俺は引き受ける。
幸いエサも目星がついているし。
車の中に一度入ってバケツを取り出す。
その代わり最小限の仕掛けだけを出してボックスは置いていく。
仕掛けは針と噛み潰し重りだけの一番単純な奴。
念のため針と重りの予備もポケットに入れていく。
あとは魚つかみとラジオペンチ。
大昔ネットで見たビデオでは南の島でこの仕掛けと餌で結構簡単に釣れていた。
ここでも行ける筈だ、きっと。
砂浜で出来るだけ広範囲を見るように視点を調節する。
探している違和感はすぐ見つかった。
ダッシュでその地点に駆け寄り小さい蟹をゲット。
蟹を3匹ゲットしたところでいよいよ本番。
入江の中でも流れ込みがあってちょっと深いところに仕掛けを投げ込む。
いったん仕掛けを底に付けてちょっと上げる。
あっさりヒット。
結構引くのをばらさないようにゆっくりと引き上げる。
黒鯛にそっくりな魚がかかっていた。
天眼通で一応鑑定。
うん、毒は無く美味しい魚のようだ。
一匹だと大きさと量的に少し寂しい感じなので、餌を付け替えて釣ってで同じ魚を3匹釣り上げる。
魚がすれていないので釣るのは簡単だ。
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