第9話 怪しい世界でお茶会を
「はじめまして、ようこそ」
女性の声が聞こえた。
昔懐かしい唐傘の巨大なのが立っている。
その下には何故か洋風の庭園用テーブルセット。
2人の男女がお茶している。
声はその女性の方からだ。
「秀美がお客さんを連れてくるのは久しぶりだな。ま、どうぞ」
男の方がそう言って少し椅子を持って移動する。
女性は身長170位で金色の長髪ストレート。
細めの身体を上下白の半袖ワンピースにつつんでいる。
一方男性の方は身長180センチ以上、体重は最低100キロ。
要は縦も横も高さもでかい。筋肉質と言うよりはもっさりという感じ。
服装もトレーナーにチノパンといまいち冴えない感じだ。
「さあ、座って」
と言って委員長が腰を下ろした。
俺も綾瀬も空いている椅子に腰掛ける。
時計回りに見ると女性、綾瀬、俺、委員長、でかい男という席順だ。
「どうぞ」
ピンクと水色のかわいらしいカップに入った紅茶が俺達の前に置かれる。
香りがなかなかいい。
俺にはわからないけれどきっといい紅茶なんだろうな。
ただよく見るとでかい男の前だけはごつい取っ手のある容量多めのマグカップだ。
確かに体型的にたくさん飲みそうだしな。
「それでは初めまして、僕は柿岡大樹、3年で『TRICKSTERS』の部長をやっている。秀美とは同じ出身でまあ兄妹みたいなものかな。どうぞよろしく」
「私は神立朱里、ここの副部長よ。まあ秀美とも長いし姉貴分に近いかな」
では僕の番かなと思ったところで委員長が口を開く。
「こっちは佐貫龍洋君と綾瀬美久さんよ。どっちも4月からの転入生」
あ、紹介されてしまった。
まあ自分で色々考えるのは面倒だし、それでいいか。
「あと簡単に説明するね。
この場所は私の能力で毎日風景を変えているの。今日は私の出身地。まあ実際はこんな風景はもう残っていないんだけれどね」
取り敢えずこの部屋の風景については了解だ。
そこで俺は少し考える。
景色を変える能力って、神立先輩は一体どういう存在なのだろう。
いや、ここの2人も委員長もどういう存在なのだろう。
妖怪か化け物か、だとすればどんな種類なのか。
でもその疑問を尋ねる前に話はどんどん進んでいく。
「他の部員については今は訓練中だね。まあ基本的に他の部員は教室の前部分を使っていて後ろは僕と朱里分。こっちに入ってくるのは秀美と、後はやはり同じ出身で2年の
他の部員がいないのも了解だ。
でもここがどういう研究会かは聞いていない。
そして委員長が僕達を連れてきた理由も。
「先に言っておくと、『TRICKSTERS』の活動と秀美の行動は関係していないと思うよ。秀美は単独行動派だから。
という訳で本題。秀美、今日は何の用かな」
委員長が頷いて口を開く。
「ん、実はお兄に視て貰いたくて。
この2人についてどこの研究会がいいかなと思って視てみたら、私にはわからない何かが視えたの。どう判断しようかわからなくて、お兄に視てもらおうと」
どういう意味だろう。
まさか不吉な意味じゃ無いだろうな。
柿岡先輩が口を開く。
「それではまず説明しようか。これから使う能力は『慧眼通』と言う。
RPGに例えれば、キャラクターのステータス画面を見たり、キャラクターの隠れた能力を解放したり、ほんのちょっとだけゲームの先の筋を教えたりするような、そんな能力だ。
なおこの能力では”状態”は視るけれど”記憶”は基本的に見えない。だからプライバシーの侵害とかそういう危険性は無いから、そのあたりは安心してくれ。
そんな感じで、まあ辻占いの結果でも聞くような感じで気楽に聞いて貰えばいい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます