アレンシア

ニーラ大臣と国王が釣りに出かけた後、アレンシアは一人マイル国際空港に向かった。


マイル国際空港は旅行に行く人々や観光客で大勢の人がいた。


その大勢の人の中でも一人だけ場違いな黒のスカートと黒の服を着た喪服の様な姿の女性が待合室でタバコを吸っていた。


その女性は綺麗な青色の目と白銀の長い髪でお人形さんの様な姿だった


その女性にアレンシアは話しかけた


「来年度からマイル国でも軍事予算を付けることになりました。あと、軍事力がありませんのでお安い金額で譲ってもらえないでしょうか?」


先程まで青色の目をした女性は目の色が急に赤色へと変化した。

「アレンシア大臣、国王さんには軍事予算のお話したのか?」

女性はアレンシアに聞いた


「いいえ。国王はまだ幼いですから説明しても理解出来ないと思ったので言っておりません」

アレンシアは首を横に振った


「じゃあせっかく平和なマイル国をアレンシア大臣貴女のせいで軍事的なマーガレット政権のような残酷な世界にするんですね?」

女性はポケットからマイル国の綺麗な山や川が写った写真を取り出して見ていた。


「平和の為には軍事力が必要なんですよ。言葉や外交だけで平和になるなんて、そんな綺麗な世界はいつになっても訪れません。私も力で平和にするのは好きではありませんがしょうがない事なのです」

アレンシアは下を向きながら言った


「そこまで言えるなら本気なんだな。軍事費は出来るだけ多く用意しておけよ。あと徴兵令でも準備しておいた方がいいよ」

女性はアレンシアに軍事費代が書いてある紙と徴兵令のやり方の書いてある本を渡して帰ろうとした。

しかし、アレンシアが女性に一つの質問をした


「姉さん、貴女が国王を継ぐべきだったのになぜ国を去ったの?」

アレンシアは目に涙を浮かべながら聞いた


「ほのぼのとした世界が嫌だったから。生きることに感謝しない、生きている事を当たり前に思っている人間が大勢いるマイル国が嫌いだったから去ったんだ」

アレンシアの姉であるグーシーはそう言い残すと少し走りながら空港を後にした。


一人残されたアレンシアは普段、妹の国王や年下のニーラ大臣がいる為泣けなかったが

日頃の疲れやココ最近の国の責任感が一気に心に響き泣いてしまった。アレンシアは一人待合室で泣きながら

「平和が悪いんだ。平和さえなければ姉も父も母も居なくなったりしなかったのに。平和さえなければ姉が国王になれたのに…」

アレンシアは大きく叫んだ

「平和なんて嫌いだぁぁぁ」

待合室の椅子や机を細い足で蹴り倒した


椅子や机が蹴り倒された待合室を後にしアレンシアは国王やニーラ大臣の待つマイル城に帰って行った

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