第9話 ディリアの計画

 そこはとある酒場だった。

 奥には簡素な鎧を纏った一団が占め、酒を飲んだり食事をしていた。

 その雰囲気は、お酒を楽しもうという雰囲気ではない。


 その一団には女が一人いる。

 女は黒に近い赤髪で右目を水晶の眼帯で隠している顔つきは、どこか鋭い雰囲気がする。

 女の名はディリア、その両サイドにはディリアの部下達が座っている。

 部下が


「やろう…来ないですね」


 ディリアが部下を見て

「落ち着け、焦っても意味は無い」


「はぁ…」と部下はちびちびと酒を飲む。


 酒場の時間は夜である。多くの騒ぐ客達の中で、お通夜のようにディリア達は待っている。

 酒場の玄関が開き、そこから銀髪の女が現れる。銀髪の女はディリアと同じく右目に水晶の眼帯をしている。銀髪の女に服装は軍服で、その歩む姿には只者ではない雰囲気が纏わり付いている。

 銀髪の女が、ディリア達に近付き

「よく呑み込んだな…」


 ディリアは忌々しい顔をして

「ウルサい、早く…内容を言え」


 銀髪の女は、資料の束を取り出しディリア達に投げて

「これを決行しろ。報酬は、お前の望み通りだ」


 ディリアは資料を見て鋭い視線を銀髪の女に向け

「成る程、それ相応って事かい」


 銀髪の女は怪しげに笑み

「当然だ。我のマスターは等価交換が基本だ。お前達が欲する事と同等の事をして貰ってやっと叶うのだ」


 銀髪の女は懐から一枚の封筒を取り出し

「必要経費だ。好きに使え」


 ディリアは封筒を手にして、開けるとそこには小切手の魔法プレートが入っていた。

 小切手のプレートにあるのは、二十万LG…日本円にして二十億だ。


 ディリアが

「気前がいいねぇ…」


 銀髪の女は背を向け

「そのくらいは、端金であるという案件だ」


 ディリアは、封筒に入っていたもう一枚を見る。

 それはとある装備が容易された場所の地図だった。


 銀髪の女は去りながら

「それも必要な事だ。ああ…身元が分からないようにはしてある」


 銀髪の女が去って行くと、ディリア達が渡された資料を見る。

 部下の一人が

「お嬢…本当にやるんですか?」


 ディリアは苦々しい顔をして

「ああ…でなければ…アタシ達は…」


 資料には、ヴィクタリア帝国の第一皇女アルテナに関する事が載っていた。

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