平成との別れ

「倉望ちゃん!本当に修がお世話になりました!ほら、お母さん。なんか倉望さんに出して。」

「いえ、大丈夫です。それより、3000年にタイムスリップできるなんて本当なんですか?」

「ああ、本当だよ。ちょうど今から修を連れて行こうと思っているところだよ。」

「すごく興味深い話だと思います。実は私も修くんからその事聞いて、私も着いて行きたいって思ったんです。良ければでいいんですが、私も3000年の世界に連れて行ってくださいますか?」

「んー俺はいいけど、倉望ちゃんは怖くないの?もしかしたら戻って来られなくなるかもしれないんだ。」

「大丈夫だと思います。私はただ、修くんが未来に行く準備をしているって言ってたことが気になって、本当に行けるのか確かめたいんです。だから、お願いします。」

「でも1つだけ条件がある。修も来なさい。」


「2人とも、今から大事なことを言うからな。今から3000年の世界に行くけど、そのためには1つとらなきゃいけないものがある。」

「とらなきゃいけないもの?」

「そう。ずばり歳だ。とると決めた年だけ向こうに滞在することができる。」

歳なんてどうやってとるのだろう。率直な疑問はそれである。

「とった歳はもう戻らないんですか?」

「いや、そんなことはないよ。例えば5年歳をとることにすれば、5年間3000年の世界にいて、期限が切れたら元の年に戻って出発した瞬間に戻る。」

どうする、という風に僕と倉望さんは顔を見合わせた。でもなんだか大丈夫な気がしたので、僕らは未来に行くことを決めた。

「何年にする?でも、今中1だから、3年にして高1から始めてみたらどうだ?そしたら転校生にもならないからまた変わった目でみられることもないんじゃないか?」「そうする。倉望さんは?」

「時間が経つのは怖いけど、今と同じように戻れるなら私も3年にします。」

「よし分かった。じゃあ次。この薬を飲んで。」

「これはなんですか?」

「マルピリンっていう薬だよ。激しい時空間上の体への衝撃を緩和する効果がある。あ、それからこのリングにシールが貼ってあるから、ここに行き先と、とる歳と名前を記入して。」

正直お父さんが大真面目に淡々と物事を進めていることにかなり驚いた。未来に行けるなら面白い。たとえいけなくても、何も変わらなくても、それはそれでいいのかもしれないと思った。

「出来たよ。このリングすごい重いね。」

「いろいろな仕組みが成されてるからな。じゃあ2人とも、このリングを潜ればそこは3000年の世界だ。」

「緊張する。わー怖い!」

「俺が背中押してあげるよ。足を踏み入れて。

「よーし。出発!」






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