jun 6 2247~jun 10 2247

jun 6 2247

やはり、少女以外にも海中に住むヒトが存在していた。

それらは、少女に率いられてやってきた仲間なのか、少女のように長い髪を漂わせ各々海中から顔を出し、俺を観察していた。

そんな仲間達から、少女は今日一日離れること無く、同じように顔を出して俺を見つめていたが、時折俺が視線を向ければ、まるでフィンの様に変化した足を海面から出し、一度深く沈んでから再び顔を出す事を繰り返した。

それは、俺が帰投するまで続けられた。

この事から、少女には所属するコミュニティがあるという確証が得られた為、これからは少女ではなく固有名称として、偉大なる母胎コンピュータ【メアリー・スー】から名前を取り、マリーと呼ぶ事にする。









jun 7 2247

【マーマイト】に赴任して、まだ2週間程度しか経過していない事に驚く。

マリーという重大な発見をした為か、任務の無い日を除いた一日が、あまりにも発見に溢れ、充実しているからだろうか、既に一ヶ月ひとつきほどの時間が経過している気がしていた。

その分、グラフを見るだけの観測や、部屋にこもるだけの休日は何をしていいか分からない。

仕事に娯楽性を求めるわけではないが、観測業務を苦痛と思う日が来るとは思わなかった。

が、それも耐えればマリーに会えると思うと、不思議と楽になる。

ああマリー。明日はどんなお前を見せてくれるのだろうか。









jun 8 2247

マリーは、好奇心が旺盛な分、積極性もあるようだ。

今日は俺の姿を見つけると、駆け寄って来て手を繋いできた。

グローブが計測した圧覚数値から、かなりの握力が測定できた。

今回のマリーの握力は48kg もしかしたらこれでも手加減をした数値なのかも知れない。

手を繋いだ後は、まるで先導するかのように度々俺を海の方へと導く。

勿論拒否をするが、その度悲しそうな顔をしないでほしい。

その顔をみると、心臓が不快に痛むのだ。









jun 9 2247

マリーを母星に連れて帰りたい。

彼女を見る度にその思いは強くなる。

しかし、高温に馴れた彼女は、今より40℃も低い母星の気温に適応できるのだろうか。

彼女は絶対に母星に歓迎される。

彼女は、人類を救う光となるんだ。









jun 10 2247

どうしてだ?


いったい何があったっていうんだ?

あれは嘘だったのか?

でもなぜ嘘をつく必要がある?

何のメリットがある?

分からない

何も何もかもわからないああああどうしてなんでなんでどうなって分からない分からないわからないわからないわからない






あの死体はセブンスだ









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