駄文2017/12/10
・夜中に起きた
昨日の不養生がたたって胃もたれがあり、4時に起きて胃薬を飲む。Facebookで紹介した好きなライブ動画について、仲間うちの反応を確認しようとしたところ、海外のニュースが流れてきて、soundcloudで人気になった21歳のラッパーが過量服薬で亡くなったという。PVを見るとロシア語の字幕がついていた。
不思議な、夢みたいな時代だと思う。あるいは僕が勝手に夢うつつになっているだけかもしれない。そろそろ33歳になって分別もついて欲しいところなのに、どんどん真逆に向かっている気がするのは、これは全然時代のせいにはできない。
兄弟が多く、彼らは真面目に職についている中で、長兄としての威厳みたいなものはどんどん減っていく。逆に言えば、一人くらいおかしい奴がいてもいいのかな、と思えるような人数ではある。
「お前は何がしたいんだ」というのは、主に仕事関係で言われてきた言葉ではあったけれど、その問いに答えることか、あるいはその問い自体に違和感があって、何とも答えることができず、「へへへ・・・」と苦笑いして場を濁してきた。
今であれば、ある程度は自分の気持ちを解説できて、「私は人に言えないようなことをしたいと思ってます。それはあらかじめ決まったことは何もしないということです」ということが近かったと思う。もちろん、そんなことを口にするような度胸もないし、そんな事を言えば相手はどんなに不快か、そういうことは、子供の頃に思い知った記憶が漠然とある。
・約束できない、仕事ができない
「あらかじめ決まったことは何もしない」というのは、あまりにもったいぶっていて、正確な言い回しではないかもしれない。誰に頼まれてもいないのに、毎日愚にもつかない文章を作ったり、お絵描きして遊んでいることは苦ではないし、別に住まいを転々としたいわけでもないし、ハローワークにこの日この時間に来いと言われれば、行く。
どちらかというと、他の誰かと何かを決めるということ(何になりたいのかを宣言することも含む)を、しないで生きていきたいということでもある。他の人と何かを約束することが、できなくはないけれど、できるなら、避けたい。
すると世間一般で言う「仕事」が、ほぼできないということになる。オフィスでの他人との共同作業はもちろん、一人で請け負う仕事でさえ、「請け負い」の性質上、何かを決めて約束するだけでなく、他者とお互いの抱えているものを、言葉と知恵の限りを尽くして酌み交わさなければならず、こういうことが本当につらい。
一方的に自分のものを吐き出すということであれば、そのつらさは生じない。ということは自分が忌避しているものが、対等で即時的なやりとりの中にあるということかもしれない。心当たりがあるとしたら、ひとつに「伝わらない」ということがある。
・原体験
8mmビデオ(昔そういうのがあったんです)に自分が4〜5歳の映像が残っていて、まだ元気だった祖父に遊んでもらっているのがあって、どうやら電話ごっこをしようとしているのだけれど、祖父がすぐに受話器をとってしまうことに対して、とにかく猛烈に怒っているのだった。
おそらく当時の自分は、電話というものが、まず呼び出し音がかかってから受話器が取られるものなのだから、何もないのに受話器をとって話し出す挙動はおかしい。それでは成立しない。ということを、必死に訴えようとしているのだけど、そのための語彙も立場もない様子である。
大げさに言えば、今日に至るまで、他人とのやりとりは、この類型だったりする。自分の中のこだわりにそぐわない反応の、ひとつひとつに腹を立てて、でもそれを糾弾できるだけの正当性もないし、どうせ伝わらないし、万が一伝わるようなことがあったとしても、そのために支払う、支払わせる精神的なコストが、法外に高くなってしまう。
だから「伝わること」が必要な他者との関わりを、できる限り少なくしたいし、その最たるものである「約束」も、可能な限りせずに生きていきたい。そして「伝わらない」としても構わない、伝わらなくてもいいことをしてであれば、生きていきたい。生きていたい。
・伝わりと誤解
「伝わらなくていいもの」は「伝わってもいいもの」でもあるので、自分の意図が伝播することには抵抗がなく、むしろ意図としていないものが「伝わってしまう」ことのほうに注意を配ったほうがいい、とは思っているものの、それを制御しようとするのも、何だかおこがましい気がしてしまう。「どうせ伝わらない」と思っていたのと同じくらい、「どうせ伝わって(バレて)しまう」と思ってもいる。同じくらい「どうせ間違って伝わってしまう」とも思う。
ただ、間違って伝わることについては必ずしも否定的な立場ではなく、むしろこちらの意図を超えて何かを受け取ってもらえるようなことがあれば、それは大いに結構というか、そんなことは余計に相手の領域で、こちらが口出しできるものではない。
その誤解が相手にとって、良い意味であればいいなと思う。例えば洋楽の歌詞を、間違って聴き取ることがたびたびあって、それが元の歌詞よりも自分にとっては良いものであったりするように、そういう勘違いが発生してもいいようなものを作って生活したい。
それによって誰かからの期待が膨らんで、何かの拍子にそれを裏切るようなことがあるかもしれないけれど、今までどれだけの人たちをがっかりさせてきたかを考えると、何を今更という気もしてしまうし、自分がどうしようもなくくだらない人間であるということについては、主に自戒としてではあるけれど、絶えず発信していくつもりである。あるいはこれも、勝手に伝わってしまっているのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます