サボテンの群れ【3】

 息を深めに吸った。



「さっき撮った写真、見せて。」


 結局、私は、考えた質問項目a~gまでをすべて無視して、彼女に言葉をかける。


 本当に撮ったのかどうかなんて知らない。

 でも、撮ったのならその写真を私は見たいと思った。

 彼女が、隠し撮った写真に私はどう写るのだろう。


 カメラ少女の瞳がぴたりと止まった。

 私の頬骨のあたりで。

 私より少し背の低い彼女。

 まっすぐ見据えたのだろうか。


 右わき腹に押さえつけるようにして持っていたカメラを左手で支えながら胸のあたりまで持ち上げる。

 レンズを下向きにしたまま、ぴっぴっぴと電子音が響く。


「はい。」


 自信がある人の声色だった。

 すっとカメラが手渡される。

 瞳は私の瞳をとらえている。




 彼女の撮った私の写真は、変な写真だった。


 あくまで、サボテンの群れがメインなのだ。

 画面いっぱいにサボテン。

 そして、右端っこに、私の濃紺のスカートがひらりとなびいて写りこんでいた。

 ピントが合ってなくてぼやけたローファーのつま先もちょっぴり。







 彼女は、明日香。

 少し変わった写真家だった。





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