足の指のマニキュア【2】
「暇。放課後、遊び行こうよ。」
いつもこう言いだすのは陽子で、決まって「暇」と最初に言う。
その暇という言い方はいつもどこかに投げつけるような言い方で、言葉は潰れてへちゃげてぐちゃぐちゃになっている。
私は、他の二人がどうこたえるかをまず窺う。
「あー、フツーにいいけど。」
千紘が、自分の爪を見ながら答える。
校則違反の薄いピンク色のマニキュアの爪。
そんな塗ってるか塗ってないか分からないような色なら塗るなよ。
「私は、どうしよっかな。期末テスト前だし。数学がやばい。」
実花のやばいは、いつもそんなにやばくない。
「じゃあさ、ファミレスかどっかでみんなで勉強しない?家帰ってもやんないし。絶対。」
陽子が言うとそれはもう、ほぼ決定事項だ。
私は、みんなで勉強というものが、全く効率的でなくて、最後にはおしゃべりに興じてしまうということを知っている。
本音としては、私は一人でまっすぐ家に帰って勉強をしたかった。
なのに私はいつもそのことを言い出せない。嫌だと思うのに「みんなで勉強」という名目のファミレスでのおしゃべりに参加するのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます