ゴリラと行く異世界茶会
学校が終わって試験前だっていうのに相川と色麻がうちに上がり込んできてまあどうでもいいんだけど何をするでもなく部屋でゴロゴロゲームしてたら急にクローゼットがものすごい勢いで光って軽いデジャヴを感じたので開けるのを躊躇してる間に普通に内側からバーン! って扉が開いて望月さんと秋元とローラが出てくる。
「来ちゃった♡」
えへ、と、望月さんが笑う。うん可愛い。可愛いけど
「雑か!!!!!!????????」
急にマックスまで声を張り上げたら咳き込んでしまった。だめだ訛ってるな。久し振りだからなこのノリ。いや違うんだ一番の問題はそこじゃなくて相川と色麻がいる部屋にローラが来たことのはずだったんだけどローラを見た色麻が「ゴッ――(※おそらくゴリラのゴ)」って言った瞬間にバチンッ! って謎の音がして次の瞬間には色麻は昏倒している。は? 待って状況変わった?
「たしか秋元の嫡子だよな? なんでクローゼットから出てきた?」
「いや、向こうから繋いだらここに出ただけ。正直俺もクローゼットにつながるとは思わなかった」
「待って相川と秋元はなに普通に喋ってんの? 知り合い? 何その飲み込みの良さ? 俺まだ何が起きたかわかってないんだけど? は? え? どこからツッコミ入れたらいいのこれ?」
「菅原くんひさしぶりー。元気だった?」
「うん久しぶり、そっちも元気そうで良かっ――じゃなくて待って状況、誰か状況を説明してくれっていうかまずそうだ色麻生きてる? 死んだ?」
「生きてるよ。騒がれても面倒だったから寝かしただけ」
扱い雑じゃない? なんなら俺より雑に扱われてない色麻? いやっていうかクローゼットからゴリラが出てきた瞬間にノータイムで級友を「寝かす」お前は何なの?
「まあ生きてんなら一旦いいや。んで次、秋元はどした? 大丈夫?」
こっちで話してる間に、秋元はクローゼットに凭れてぐったりしてしまっている。顔色があまり良くない。
「転移、疲れる……」
「あ、それは普通に同情する」そりゃそうだろ本来宮廷魔術師が雁首揃えてやってたくらいのことを二人でやってんだもん疲れるよ。何故か望月さんはピンピンしてるけど。魔力の配分てきには望月さんの方が疲れてて然るべきなんじゃねえの?
「まあ頑張れ。んで三人は何の用?」
「今からあっちでお茶会開くんだって」望月さんがクローゼットを指さして言う。「それで菅原くんも呼ぼうってことになって」
「お茶会って――」
「あ、俺もついていっていい? 行ってみたい」
「菅原くんの友だち?」
「いやちょっ」
「カヴェリエーレの子孫だよ。
「たぶん。続柄は家系図見ないとあんま自信無いけど」
「あ、でもじゃあ大丈夫! 行こう!」
「軽い!!!!!!」
とんとんとんとん話が進んでしまって口を挟む隙がなかった。ツッコミ人員が足りねえ。
「異世界転移のノリがあまりにも軽い! お茶会て! っていうかなんか今衝撃の発言があったけど?! お前カヴェリエーレの子孫なの?!」
「菅原うるさい」カヴェリエーレふたりの声がかぶる。
「俺?! おかしいの俺?!」
「まあまあいいじゃん、早く行こ! みんな待ってるよ!」
はいともいいえとも返事しないうちに、ローラと望月さんにガッツリ腕を掴まれてクローゼットの中に空いている光の穴に引きずり込まれる。おい力尽くじゃねえか。応じた覚えはないぞ俺は。なんか前にもあったぞこんなの。
……まあ、いいか。どうせ暇だしな。
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