第28話

Fairy lover last



1ヶ月後




妖精は…


空へと旅立った





イギリスのロイヤルバレエ団のプリンシパルになった相澤美空はその短い生涯に幕を閉じた




しばらくして美空の母親が訪ねて来られた


美空が自分の物がいつまでもあると俺が新しい恋が出来ないから取り入ってくれと言ったらしい




「高坂さん、ありがとうございました」



「いえ、僕は何も」



「美空が…少し前に高坂さんに謝りたいって言ってたんです。

自分と出会わなければ辛い思いさせなくて良かったのに…と。

でも、謝ると高坂さんを怒らせてしまうって」



「そんなことを…。」



「はい。…じゃあ、私が代わりに謝っといてあげるからって言ってたんです。

それが……亡くなる前にそれはもういいって。

『ママ、もう優にごめんねって言わなくていい。

謝ると優が生きてきた道が間違ってるって言ってる気がするから…。

だから、"ごめんね”じゃなくて、"ありがとう”って言っておいてね』


そう言ったんです。

きっと、高坂さんに愛されてるって自信が持てたのかもしれません。


あなたが真っ直ぐに美空を愛してくれた時間を大切なものにしようと思ったんだと。

あなたに出会えて美空は幸せでした。

本当にありがとうございました」




言葉が出なかった


こみ上げる涙をこらえるだけで精一杯だった




「それでは、私はこれで

お身体に気を付けて頑張って下さいね」



「ありがとうございます。

あの、もし、よかったら美空さんの物、何か頂けませんか?」



「でも、それじゃ、いつまでも…」



「お願いします」



「わかりました。美空が一番大切にしていた物がありますので、後日送らせていただきますね」





3日後

彼女のトウシューズが送られてきた



『美空が初めて舞台に立った時に履いた物です。プリシパルになって履いた物よりもこのトウシューズを一番大切にしていました』




小さなボロボロになったトウシューズを手に取ると、光を浴びて踊る美空が浮かんできた





どんなに泣いても、

どんなに叫んでも

美空は帰ってこない




彼女の華奢な身体を抱きしめた感覚はまだこの手に残っているのに…。




美しい空に住む美空(みく)は

きっと、いつまでも踊り続けていることだろう




そして、俺も

美空に負けないように顔を上げて進んでいく



じゃなきゃ、きっと……


『優のバーカ』って言われんだろうな



ずっとそこから見てろよ!




Fairy will continue shine.


Forever in my heart.





fin

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Fairy lover ノン❄ @non_non129

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