第27話

Fairy lover 27



腕の中で眠る美空の穏やかな顔が朝陽に照らされて輝いてる



まるで、光を吸い込んでいってるようで

単純に綺麗という言葉だけでは表せない



そう、あの朝、初めて踊る美空を見た時と同じ感覚だった




うっすら目を開けた彼女が眠そうに俺の腰に手を回した




「おはよ」



「うーん、おはよう。

優、起きてたの?」



「さっきね」



「もう…帰らないといけないんだよね」



「……そう…だな」



「うん、今日は臣…困らせないから」



「ふーん、素直じゃん

でも、美空のわがままは慣れたよ」



「やだぁ、そんなわがまま言ったぁ?」



仏頂面する彼女の頬を挟んで引き寄せた



「ぶっさいく」



「グスッ、優…やっぱり困らせていい?」



「いいよ」




「泣いてもいい?」



「そんなもん、聞くな」




頭を抱えるようにして抱きしめると

小さな体を震わせて声を殺して泣いた





「離れたくない…

優とずっとこうしていたい」





ひとしきり泣いた彼女は決心したかのように身支度を始め、笑って見せた



病院へ向かう車内、俺の歌が聞きたいって。

一緒に口ずさんだ俺に贅沢だねぇって笑ってたっけ




「じゃ、また、来るからな」



「うん、でも無理しないでね」



「無理じゃねぇよ。

俺が会いたいだけ」



「フフっ、私って愛されてるね」




手を振って歩き出した俺を彼女が呼び止めた




「優ぅ!

優も……泣いていいんだよ

我慢しなくてもいいからね」




美空いつも心で泣いてた俺の声

お前には聞こえてたのか?




「バカか、泣くかよっ」



「ふーん、強がり言わないのー。

バーカ!」





美空の優しい笑顔が俺の涙の堰をきった



自然と溢れてくる涙を拭うことなく、

前を真っ直ぐに見て歩いた




(俺が泣くかよっ、泣くわけいかないんだよ)




見上げると空から白い雪が舞い降りてきた



妖精の羽のように真っ白でフワフワの雪はまるで、美空に抱きしめられてるようで


不思議と体があったかかったんだ






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