第26話

Fairy lover 26



車に乗ると急に無口になる美空



「どした?具合悪いか?」



「うううん」



そう言った美空の顔色があまり良くない


ホテルに行きたいだなんて言った彼女だったけど、今夜はただ、抱きしめて眠りにつこうと思ってた

…………のに



部屋に入って電気をつけようとすると、彼女がその手を制止した



「つけないで」


「え?」


「恥ずかしいから、このまま、聞いて」


「うん、何でも聞くよ」



美空の手をとって引き寄せた




「優…お願い…私を、抱いて…ほしい」



「それは…ダメだ」



「…絶対そう言うと思った」

大丈夫だから……お願い」



「いやっ、でも」




戸惑う優にキスをした


首に手を回して私の方から舌を絡ませて

角度を変えながら何度も


私よりうんと背の高い彼に背伸びしながらするキスは私にとっては精一杯のこと



気がつけば、彼が腰をしっかり支えてくれていた




「優…大好き」



「美空、上手くなったじゃん、キス」



「だって、スケベな優、相手だから。

ねぇ……お願い」



「ほんとに…」


「いいって」




彼に抱きつくとそのまま、抱き上げられベッドにおろされた




「美空…すっげぇ、愛してる」





泣きそうに笑った彼が蕩けるようなキスをくれる


柔らかい唇が首筋に吸いつき

冷たい指先が脇腹から胸に滑っていく



「ンンッ…」




お互い何も纏わない姿になって触れあうと素肌の温もりだけでも愛しく思えた




「優?」



「ん?」



「何かこうしてるだけでも幸せだよ」



「俺も…」



「あっ、でも……もっと…してね」



「美空、今日めちゃくちゃエロいな」



「私…おかしいかな?」



「全然。どんな美空も好きだから」




恥ずかしそうに俺の胸に顔を押し付けた彼女の腕を束ねて上に跨がった



唇を噛んで横向いた頬に触れるだけのキスを落とすと内股に唇を這わせて溢れる場所を刺激する



「やっ、だめ」




俺の肩に手を置いて体を捩らせ彼女の息が浅くなってくる


慌てて、動きを止めた




「美空大丈夫?」



「ふぅ、はぁ、平気」




覆い被さるように抱きしめて頭を撫でた



ベッドサイドにあるモノをつけようとすると彼女が言った




「いい、そのままで」



「え?」



「優をちゃんと感じたい。

ほんとに繋がってるって思いたい」




真っ直ぐに見つめて言った彼女の言葉に何処か鬼気迫るものを感じた



「わかった」




ゆっくり優しく繋がった




耳元に響く声も


白く透き通る肌も


熱く溶けた場所も


何もかもが心を震わせる




軋むベッドの音と微かな水音、彼女の高い声だけ静かな部屋に響く




彼女を抱きしめたまま果てた





荒い息が徐々に落ち着きはじめる頃

『優』って呼ぶ美空の声が好きだった





「優…?」



「んー?」



「おやすみ」



ニコリと笑って目を閉じた彼女を包み込んで大きく深呼吸した



「……おやすみ」





ずっと、このまま……


朝が来なければいいのに





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