第20話

Fairy lover 20



先に上がってって美空が言うから、見たくもないテレビをつけて、ビールで喉を潤した



ガタンと大きな音がしたので、慌てて見に行くと彼女がバスタオルを巻いたまま、座り込んでた




「美空、どうした?」



「ちょっと、のぼせちゃったみたい」



「立てる?ほら、おいで」



彼女を抱き上げてベッドに運んだ



「はい、水」


ゴクゴクと一気に飲み干した


「ふぅー」


「そりゃ、そうなるよな。

舞台が終わってすぐに走ってきて、泣いて…。何も飲んでなかったんだろ?」


「うん」


「水分とったら、すぐ楽になるよ

もっと、飲む?」



グラスをもらってキッチンに行こうとするとTシャツの裾を引っ張られた



「いらない…ここに…いて」



「わかった…いるよ 。ずっと」



甘えるように見上げた大きな瞳に誘われるように彼女の隣に横になり抱きしめた



「美空…大丈夫なの?」




瞬きをしてコクリと頷いた


顔の両側に肘を置いて見つめると彼女は静かに瞼を閉じた



薄く開いた唇を割って舌を絡ませるとそれに応えるようにして時折、声が漏れる



首筋から胸に唇を這わせ、白くて柔らかい肌を指先が行ったり来たり、留まることを知らないように自然と動いてしまう



「あっ、んんっ、」



「…俺…余裕…ねぇわ」



内股から熱いところに触れると


「はぁっ、やっ」



「美空…こんなになってたの?」



顔を見上げると恥ずかしそうに手の甲で目を覆って横を向いた


その手を頭の上で束ねて額に触れるだけのキスをして言った




「美空のこの身体は俺だけのもんだからな」



「ぅん」




潤ったところに指を沈めると体を捩らせて息が浅くなる



「ゆ…う…やっ、もう」



早く彼女と繋がりたくて一気に…。




腕を伸ばして腰をユラリと揺らす彼の刺激に耐えられず、逞しい二の腕を掴んだ


優は動きを止めてにこりと笑う




「どう…した…の?」



「何かさぁ、ずっとこうしてたい。

離れるのもったいない」



熱い眼差しでそんなこと言われると

胸がドクンと波打つ



2つの身体が吸い付くように抱きしめられた



再び動き始めた彼の身体が汗ばんでくる




「優…もう」



同時に果てた瞬間、美空の力が抜けていった




彼女を引き寄せて、額にかかった髪をよけると少し微笑んだように見えた




鼻筋の通った綺麗な鼻を人差し指でなぞったり、柔らかい頬にキスしたり



「ふっ、俺…相当、やばいな」




美空がここにいることを噛み締めたくて

大切な宝物をなくしたくなくて、

愛しい温もりをしっかりと抱きしめて眠りについた





恋して


愛して


求めて


俺と美空はこの繰り返しなのかもな

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