第18話
Fairy lover 18
美空…
優の声が聞こえた気がした
楽屋に戻るとママの顔がいつもと違った
そう、確か…ずっと昔、まだバレエを始める前の…ただの私のママだった時の優しい顔
「美空…ジゼル素敵だった」
「ありがとう」
「フフフ」
「何で笑うの??」
「高坂さん…観てくれてたよ」
「優が!ほんとに?…でも、どうして?」
「私が招待したのよ
…会ってくれば?」
「いいの?」
「いいわよ。彼、カッコいいねぇ、美空が会わないならママがとっちゃうよ」
「ダメっ、絶対ダメだからね」
「冗談よ~、ほら、早くいってらっしゃい」
私はお化粧も落とさず、衣装の上にコートを羽織って、飛び出した
彼のいる懐かしいあの部屋へ
慌ててチャイムを鳴らした
お願い…いて…
「はい 」
「優!!」
「美空?」
「うん」
玄関を入って彼に飛び付いた
彼は私を高く抱き上げてくれた
まるで、舞台がまだ続いているかのように…。
「美空、何て格好で…。お前、結構有名人なんだからな」
「だって、1秒でも早く会いたかったの」
「俺も…会いたかった」
「優…ずっと、会いたかった」
彼の首もとに顔を埋めた
「美空、ちゃんと顔見せて」
ゆっくり降ろして涙を拭ってくれる
「グスッ」
「ハハ、プリンシパルがグチャグチャだなぁ」
「ひどーい」
「おめでとう…美空」
「ありがとう」
すーっと息を吸い込んだ彼が私の頬に手を添えて言った
「俺は美空と出会えたこと、
好きになったことを誇りに思う」
「私の方こそだよ」
「美空キレイになったな。
そんな、一気にキレイになんなよ
俺、焦んじゃん」
「優が私を変えたんだよ」
私の方から背伸びして彼にキスをすると、
彼はしゃがんでおでこをくっつけて、笑った
「美空、相変わらずキスは下手くそっ」
「そんなこ…んんっ」
後頭部に手を回して息をする間を与えてくれない程の深いキス
頭がボーッとしてきて
彼の胸を叩いた
「ふぅ、息…いつ、したら…いいか…わかんない」
「ごめん、でも、止まんないから」
潤んだ目で見上げた彼女をもう一度抱き上げた
会いたくて会いたくて
やっと会えた妖精は一層輝きを増し、
心を震えさせた
「美空…愛させて…」
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