第15話
Fairy lover 15
夜中、目を覚ました
ベッドに腰かけて
寝息をたてる彼を見つめてた
この唇の感触がまだ身体に残っている。
そっと人差し指で触れるとゆっくりと瞼が開いた
「美空…?」
「ごめん、起こしちゃったね」
「また、勝手に帰ろうとすんなよ」
「……うん」
「…朝までここにいて」
そんな切ない顔で言われたら何も言えなくなるよ
彼の腕の中にくるまれた
「ねぇ、優?」
「んー?」
「眠るのがもったいない」
「じゃ、起きとくー?」
「うん、何か話してよ」
「ハハ、子供かっ」
「だって、私、優の声好きなんだもん」
「ふーん」
「何よ?」
「だって、散々嫌いって言ってたくせにぃ?」
「そ、それは……もう、いい、意地悪っ」
「はいはい、なしにしてやるよ。
そうだなぁ、何話そうかなぁ」
スリスリ
嬉しそうに身体をスリ寄せてくる美空
「うーんと、じゃさぁ、美空が聞きたいこと聞いてよ?」
「わかった!
優って、子供の時はどんな子だったの?
夢はあったの?」
「俺はねぇ…」
私の髪を撫でたり、
唇を触ったり
クスッと笑ったり、
ちょっぴり自慢気に話したり、
彼のしぐさや耳に響く低い声が愛しくて
何度も何度も繰り返し見れるように、
私の瞳に保存出来ればいいのにと思った
「美空…聞いてる?
眠くなった?」
「うううん
ちゃんと聞いてるよ」
「美空…
明日早いの?何時の飛行機?」
「いいよ、優、仕事あるでしょ?ママもいるし」
「ちゃんと行くから!何時?」
「……3時」
「わかった」
「私達…ほんとに、このままでいいの?」
「いいに決まってんだろ、イギリスに俺が会いに行くから」
その言葉に答えることはなく、
彼女は細い指で俺の頬に手を伸ばして、言った
「…お願い…
もう一度…愛して…ほしい」
震える声で絞り出すように告げられた美空の精一杯の思いが眩しかった
美空の声が高くなり、中心が蕩ける
息が浅くなり、身体を捩らせる
どんなに抱いても、足りなくて…。
彼女の柔らかい身体を大切に大切に抱いた
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