第14話
Fairy lover 14
liveも無事終わり、
今日は取材だけしか入っていなくて、
夕方に帰宅
(美空どうしてるかなぁ)
スマホを取り出すと同時に彼女からの着信
「もしもし
今、電話しよっかなって思ってたんだ」
「……」
「もしもし?美空?」
「優………
…………会いたい
また、優のお気に入りの場所に行きたい」
「どした?何かあったか?」
「だって、ずっと会ってないから
……淋しい」
「美空…」
「あっ、ごめん
私何言ってんだろねぇ」
「…公園」
「え?」
「美空をさらった公園まで出てこれるか?」
「うん、すぐ行く!」
私は着替えもせずに家を飛び出した
公園に着くと優の車が停まってた
「乗って」
車に乗った瞬間抱きしめられた
「俺も…」
「ん?」
「…会いたかった」
「……グスッ、優の匂いだ」
「このままさらっていきたいけど…」
「わかってるって。仕事、忙しいんだよね、わがまま言ってごめん」
「いいよ、今日たまたま、早くに終わったからな。行こっか」
優と初めてデートしたあの場所
今日は前に見た夜景とは違う夕景が広がってた
「美空…何か話あったんじゃないのか?」
「どうして?」
「そんな顔してる」
「大したことじゃないから、後でね」
「ふーん」
「ねっ綺麗だよねぇ」
先に走って行っては振り向いてにっこり笑う彼女
追いついて抱きしめてもまた、すり抜けてはケラケラ笑ってる
夕焼け色に染まる彼女の笑顔を見てると
愛しい気持ちと胸の奥が苦しくなる不思議な感覚が入り交じる
「ただいまぁ」
「相変わらず変なこと言ってんな」
玄関から動かない美空…
「優…私…イギリス行きが決まった」
「……うん。 いつから?」
「明後日」
「はぁ?バカかお前。急すぎるだろ」
「毎日、言おう、言おうと思いながら言えなかった。だから…」
「だから?」
「別れよう」
「ふざけてんのか?」
「優、私はプリシバルになるのが夢なの」
「知ってるよ。
別れる必要あんの?」
意味わかんねぇ」
「もう…キライになったの
ほんっとむかつく。
自分勝手だし、すぐ怒るし
寝起き悪いし、
二日酔いの朝のぶっさいくな顔
最悪だよ ……バカだし…」
涙をためて、睨みながら必死で言ってる美空
俺が近付くとくるっと背を向けた
ゆっくり、後ろから抱きしめた
「はぁー、言ってくれんな
俺は好きだけどな。
子供っぽく笑う顔も、
長くて細い腕も、
柔らかい髪もすぐ泣くところも」
「ずるいよ…優」
振り返って彼の背中に手を回した
「なぁ、美空、俺はずっとお前見てるから
離れてても見てる」
「だって、イギリスは遠いよ?見えないよ?」
「お前なぁ、せっかくかっこいいこと言ってんだから、好きよーっとか言ってキスの1つでも出来ねぇかなぁ」
口を尖らして拗ねてる彼の肩に手を置いて思いっきり背伸びして唇を重ねた
満足そうに笑った彼は腰を支えて私を持ち上げた
「きゃー、危ないって」
「相変わらず軽いなぁ」
「普通よ」
「はいっ、これでしやすくなったな」
「何を?」
「キースー」
「したよ?もう、優いっつもそうやって私をいじめるんだもん」
「あー、めんどくせぇ」
そう言うと私を抱き上げたまま、何度も重ねた唇
「もっ、おろして」
「まだ、足んない」
そのまま、ベッドにおろされた
「優…嫌いだって言ってるのに、バカっ」
「美空が俺のこと嫌いでも大っ嫌いでも…
俺はずっと好きだからな、ばーか」
「うっ、うっ、グスッ」
とめどなく流れ落ちる涙を拭って
瞼にキスを落とし、顔の横に肘をたてて潤んだ瞳をしっかりと見つめて言った
「美空…愛してる」
重ねた温もりが離れないように
繋いだ手がほどけないように
何度も何度も抱き合った
求め合う思いは…
夢にも距離にも負けない
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